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2017-06

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『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート4 』 - 2013.04.12 Fri


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軍事研究家の黒井執斗様に最新の軍事情勢レポートを御執筆いただきました。
今回のタイトルは『 空軍力の谷間と防衛産業のゆくえ、そして緊迫の朝鮮半島 』です。
併せて、作家・国際政治学者の深田 匠先生も序文を投稿して下さいました。

一人でも多くの方に読んでいただきたい内容です!ぜひ拡散にご協力下さい。


※過去の軍事情勢レポートにまだ目を通しておられない方は、ぜひ併せてご覧下さい。
『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート1  今、試される日本の覚悟~牙を剥く中国と暴走する北朝鮮~』
http://sensapo.blog.fc2.com/blog-entry-4.html
『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート2  開戦前夜は近し 』
http://sensapo.blog.fc2.com/blog-entry-7.html
『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート3  核の拡散と日本の決断 』
http://sensapo.blog.fc2.com/blog-entry-11.html


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『 日台漁業協定がいざなう対中包囲網構築への道 』
(作家・国際政治学者 / 深田 匠)

4月10日、日台漁業協定が調印され、国内各紙も「中台連携にくさび」と報じた。一歩前進であるが、これは非常に大きな一歩である。
長年にわたり中国の顔色を伺うだけの場当たり外交しかできなかった日本が、台湾を切り札のカードとして対中包囲を進めるという明確なる国家戦略に基づいて踏み出した一歩なのだ。官邸主導で日本の舵を正しい方向へと向けた安倍政権の素晴らしい決断を大いに評価したい。
この日台漁業協定に対して中国は「重大な懸念」を公式表明し、中国マスコミでは「台湾当局は国賊だ」「中華民族に対する最大の裏切り」などといった罵倒が飛び交っている。この日台接近によって中国の覇権拡大戦略に確実に黄色信号が灯ったからである。私見では日本はもっと大幅に台湾に譲歩してもよかったと感じているが、それでも協議開始以来17年目にしてようやく協定妥結となった意義は極めて大きい。

台湾は経済面での対中依存を深めてはいるが、安全保障面では日米同盟側に属しており、台湾人のほとんどは「現状維持」を望んでいる。多くの台湾人は「本心では独立したいが、それを実行に移すと中国が侵攻してきて戦争になる」という怖れをいだいてるからだ。それゆえに沖縄に米軍が存在しているという事実は台湾にとっても大きな意味を持つ。
従来の日本外交は中国の顔色を伺って台湾に差別的であり、また中国は台湾の外省系マスコミなどを通じて盛んに反日プロパガンダ工作につとめ日台離反を目論んできた。しかしそれにも拘わらず台湾の民心の大勢は親日的であり続けてきた。
安倍首相はその台湾の友情に応え、FACEBOOKで「台湾は日本の大切な友人」と自ら記し、東日本大震災追悼式の指名献花に台湾代表を加えた。この友情の贈り合いが漁業協定妥結となって実を結んだのだ。
この日台漁業協定妥結が意味するものは、たとえ対中融和的な国民党政権といえども、大陸とは異なる独自の道、すなわち台湾は日米側に軸足を置いて親日の道を歩むことを宣言したに等しい。日本だけではなく台湾もまた大きな決断を行ったのだ。
この一歩がさらなる日台連携深化の足がかりとなり、日台国交回復、日台安保同盟締結、ひいてはアジア版NATO構築へと進むことを切に願うものである。

安倍首相は政権発足後きわめて精力的に対中包囲網構築へと動き出している。もちろん首相の立場では「対中包囲網」などと口にすることはできないし、一般に「セキュリティーダイヤモンド構想」と呼ばれている。しかしてその実は中国覇権の拡大を抑止するための対中包囲網であり、TPP参加もその一環として捉えることができる。国家戦略不在のまま国際社会を漂流してきた日本が、いわば初めて明確に国家としてのグランドデザインを示したのだ。このまま座して中国の覇権には呑み込まれない、日本は中国との冷戦に勝ち残るという国家の強い意思を、安倍政権は力強く内外に示した。

だが、このグランドデザインの実現には多くの困難を乗り越えていかなければならない。米国にも親中・反中の2つの政治勢力が存在している。「中国を重視し米中関係の強化に取り組む」と発言するケリー国務長官と、「国連安保理で中国に拒否権を与える必要はない」と主張する共和党重鎮マケイン上院議員を比較してみれば、「2つのアメリカ」が存在していることが分かるであろう。
実はオーストラリアもまた親中・反中の2つの政治勢力が拮抗している国である。オーストラリアのカー外相が、わざわざ「オーストラリアは中国牽制に反対する。安倍首相の提唱する対中包囲4ヶ国同盟(日・米・印・豪)を我々は支持しない」などと述べたのも、同国の親中派勢力の政治的影響力の大きさを物語っている。

その困難を見越したごとく中国は1月12日付の北京日報で、安倍首相の対中包囲網について「実際に日本の呼びかけに応じるのはフィリピンとベトナムの2国だけという寂しい結果に終わるだろう」と述べている。しかし日本が台湾との関係強化へと大きく踏み出したことで、中国の足元は崩れだしたのだ。
対中包囲網の構築においては、米国をひとまず置けば、最も重要な鍵を握るのは台湾・インド・韓国の3ヶ国である。この3ヶ国はそれぞれ対日感情や歴史観に差異があるが、地政学的には必ず日本側の陣営に確保しなければならない重要国である。とりわけデリケートかつ周到な外交戦略を必要とするのは韓国であり、本当は慰安婦問題などで大いに言いたいことがある筈の安倍政権が我慢して親韓外交策を採っていることは評価できる。
そして実は韓国を日本側に大きく引き寄せる秘策ともいうべき戦略案があるのだ。朝鮮半島史を検証する中であるヒントを得て私はその戦略案をまとめることができた。ここで述べるには長くなりすぎるので、その秘策については現在執筆中の次著にて披露したいと思う。

このように外交戦略においては安倍政権は正しい方向へと舵をきっているものの、防衛面においては過去の政権のツケによって問題が山積している。今回の黒井氏のレポートで「航空自衛隊にとって、ここ数十年の間かつて無かった戦力の谷間の状況になりつつある」と指摘されているが、中国の異常極まる軍事力増強によって日本の空の護りは日増しに危うくなっているのだ。
黒井氏がこのレポートで述べておられるように、本来は現在日本を護っている筈であったステルス戦闘機F-22は、「イージス艦の機密情報がコピーされて外部へ持ち出され、中国籍の妻を持つ自衛官の自宅に持ち帰られていた事案が発覚」したことなどが原因となって、米国はF-22の日本への提供を認めなかった。スパイ防止法を制定できなかった日本自身が招いた結果だといえる。
現在、自衛隊で外国籍の配偶者を持つ隊員はおよそ800名、そのうちの約600名が中国人である。中国人妻を持っているからといってその隊員がスパイになると決め付けるつもりはないが、当の中国では軍事機密を扱う軍人は旧西側諸国の国籍者との結婚を禁じている。スパイは死刑か無期懲役と相場が決まっている中国でもこれだけ用心しているのに、スパイ防止法すらない日本がこの無防備な状態であれば米国が機密漏洩を懸念するのはやむを得ないだろう。

さらに後継であるF-35Aは計画遅延の連続でいまだ配備がかなわず、在日米軍を抜きにしての日本独自の防空能力は今や危機的状況にあるといえよう。日本の軍事力が中国に拮抗し牽制するだけの力がなければ、対中包囲網は実現しえない。軍事力のパワーバランスにおいて日本が明らかに中国よりも劣勢となれば、フィリピンやベトナムですら対中包囲網への参加を躊躇するだろう。それは日本が中国の覇権下に呑み込まれ沖縄すら奪われる悪夢の未来へとつながる。

もはや日本が妄想平和主義的な「うたかたの夢」を享受できた時代は過ぎた。一刻も早く憲法改正を実現し、「専守防衛」なる妄想を撤廃し、敵地攻撃のできる国防軍創設、スケールアップした軍事力増強、武器輸出の全面的解禁、非核三原則撤廃などを実行していかなければならない。もしもそれが実現できなければ、我々日本人の未来には地獄が待ち受ける。
「専守防衛」なるものの実態は、平和主義でも何でもなく、日本全土をかつての沖縄戦のような地上戦に巻き込み、非戦闘員である無辜の国民が多数犠牲になることを意味している。そして軍事力の弱体化は確実に敵対国からの攻撃を誘発する要因となる。妄想平和主義こそが戦争を招くのだ。

現在の日本が置かれたる軍事情勢の現実を知るためにも、ぜひ今回の黒井氏のレポートをご熟読いただきたい。


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『 空軍力の谷間と防衛産業のゆくえ、そして緊迫の朝鮮半島 』
(軍事研究家 / 黒井執斗)

去る2013年3月末の報道において、中国がロシアから少なくとも24機の新鋭戦闘機Su-35(スホーイ35)とラーダ級潜水艦四隻を購入することに合意したと伝えられました。当初はSu-35に関しては僅か四機のみを購入するとしていた中国側ですが、これは明らかにコピーを前提とする行為だとして、ロシア側が反発していたものです。
そして、ラーダ級潜水艦四隻のうち二隻は中国国内で建造されるとのこと。中国としては潜水艦の製造ノウハウを得られることも大きなメリットとなるでしょう。
我々の日常生活の中では掻き消されてしまうであろう報道ですが、これらは中国の著しい空軍力、海軍力の近代化・強化の証であり、我が国の防衛を考える上で実直に危機感を高めるべきです。
今回は歴史的経緯や空海自衛隊の現状を含め、織り交ぜて書いてみたいと思います。

それにしても、まず思うのはロシアはお金に困っているのだなぁ、という事です。自国向けの配備すら、まだ僅か十数機の新鋭機を売るというのですから。そして、中国は海軍力だけではなく空軍力においても、急ピッチで近代化を推し進めていることになります。
世界経済、特にEU経済の低迷によってロシアの外貨獲得手段であるエネルギー資源収入が低迷しています。私が子供の頃に読んだ本には、二十年後にはガソリンが無くなる、と書いてありました。ところが、遙かに時が流れた今、まだガソリン車が普通に走っています。これは原油を採掘する技術の向上により、以前ならば不可能であった深部に埋蔵されている原油が掘り出せるようになった為です。
ロシアの資源開発もそのパターンであり、難易度の高い採掘には余分なコストがかかります。よって、需要と価格が連動して低迷すれば商売にならなくなります。アメリカにおいてシェールオイル・ガスの採掘技術が実用化され、今後はますます苦しくなるのではないでしょうか。

資源がダメとなると、ロシアには売る物は軍事兵器しか無いですから、出し惜しみ無しで売ってくることになります。とは言え、兵器を他国に輸出する際には性能を落としたり機能を削ったりして売るのが常識です。これを「モンキーモデル」と呼びます。
ロシアにとって中国はお得意さんではありますが、好き勝手に分解しては劣化コピーを大量生産し、国産開発だと言い張るたちの悪い客でもあります。これまでにも度々クレームが付いたり、あまりいい関係ではありません。そして何よりも、国境紛争も存在します。にも関わらず新鋭機を二十四機も売るとは、その後のコピーも織り込み済みの価格かも知れません。
そして、ロシアは情け容赦ないまでに立派な武器商人です。中国と敵対関係にあるインドに対しても、同じ兵器を売りつけていたりします。興味深いのは、いずれも輸出用のモンキーモデルでこそあれど、インド向けの方が機能が上であったりする事です。いかに中国が信用されておらず、ロシアの怒りを買っているかを物語っています。

さてここで一旦、航空兵力の重要性を理解する為、時は20世紀半ばへと遡ります。
1941年(昭和16年)12月8日、これはまぎれもなく歴史のページに刻まれた日付です。アメリカに宣戦布告した大日本帝国は東進させた空母六隻よりなる機動部隊から発艦した艦載機によってハワイのオアフ島真珠湾を先制奇襲攻撃し、米戦艦八隻を撃沈・大破させ、地上基地及び湾港施設にも損害を与えました。ある意味大きな賭けではありましたが、この歴史的な作戦はひとまず成功したのです。
当時、世界の海軍の主力は大砲を備え鎧のような分厚い防御装甲をまとった「戦艦」であり、発展途上の航空機戦力をもってそれを撃破することは不可能であるとされていました。しかし、大日本帝国海軍は空母機動部隊から飛び立った戦闘機・攻撃機により「停泊中の戦艦」を沈められる事を実証して見せたのです。
これは世界初と述べられる事も多いのですが、残念ながら史実とは異なります。遡ること約一年、1940年11月のイギリスによるイタリアのタラント軍港空襲において戦艦が撃沈されたことを参考にし、考案・実行された作戦と見るべきでしょう。

そして付け加えるならば、目標であった湾内に米空母が不在であったことは想定外であり、今なお様々な憶測があります。つまり、奇襲攻撃を予め知っていたアメリカ政府が型遅れの艦船のみを残して襲撃させた、というトラップ論です。真珠湾奇襲によって反戦色の濃かった民意が参戦へと傾いたことは事実でしょうが、ここでは本題からそれる為、省略します。
そしてもう一点、もし仮に第三波攻撃を敢行して更に港湾設備や燃料備蓄タンク等を徹底破壊していれば、史実に増して暫しの間は西太平洋におけるアメリカの反攻を阻止できた事でしょう。

時を同じくして東南アジアでは、マレー沖海戦が勃発していました。要塞化されたシンガポールに君臨する大英帝国海軍は、その権力と栄光の象徴である新鋭戦艦プリンス・オブ・ウェールズを筆頭とする東洋艦隊を北上させ、その威信にかけて日本軍を駆逐すべく出撃しました。
しかし、ハワイとは遠く隔てたマレー半島沖においても、大日本帝国海軍の航空戦力は魚雷による雷撃と航空爆弾の投下により敵を打ち破り、大英帝国の戦艦プリンス・オブ・ウェールズ及び巡洋戦艦レパルスを撃沈する大きな戦果を上げました。これは航空戦力が「作戦行動中の戦艦」をも沈められる事を初めて証明した事となります。

大東亜戦争緒戦におけるこれらの戦闘は、二つの意味で非常に大きな出来事でした。
一つは、航空戦力をもって「停泊中の戦艦」及び「作戦行動中の戦艦」をいずれも撃沈することが出来ると実証し、海軍の主力が長年の戦艦を決戦戦力とする大艦巨砲主義から、航空兵力を持った航空母艦(空母)の時代へのバトンタッチを決定付けたこと。
そしてもう一つは長きに渡って欧米列強の植民地として虐げられてきた有色人種が、決して西洋人(白人種)に劣るものでは無いと証明して見せたことです。

これらは大日本帝国陸海軍によって世界に先駆けて実証された事でありますが、それは同時に、自らをも窮地に至らしめる事にもなります。なぜならば、大艦巨砲主義の象徴たる史上最大の戦艦である大和及び武蔵を保有し旗艦とするのが大日本帝国連合艦隊であり、それら最強の不沈艦と謳われた巨大戦艦もまた、後に米軍の航空戦力により没する運命に至るからです。
いずれにせよ、マレー沖海戦に敗れた事に端を発し、マレー半島を破竹の勢いで南下してきた日本軍によってシンガポール要塞は陥落、七つの海を制覇したイギリス植民地主義は衰退し、阿片戦争以来100年にも及ぶ歴史に事実上の幕を下ろすことになります。

さて、大東亜戦争緒戦の破竹の進撃によって大艦巨砲主義たる戦艦が主役の時代は事実上の終わりを告げ、航空戦力主体の航空母艦 (空母)の時代が訪れました。これが意味するのは、自国及び同盟国が制空権(航空優位)を持たない海域において、上空に護衛の航空機を持たない艦隊は安全に作戦行動を行えない、という事です。

そして日本は周囲を海に囲まれた島国です。その国土へ攻め入る為に大量の陸軍兵力を送り込もうとすると大量の輸送艦(揚陸艦)が必要となります。つまり、制海権がなければ陸軍兵力の大量投入は出来ないのです。そして制海権を得ようとするならば、その前にまず制空権(航空優位)を得なければなりません。
これはすなわち、日本は島国であるが故に長大な海岸線を持ち海軍力が重視されますが、制海権確保の前提として、制空権を守る航空機戦力もまた非常に重要であると言うことです。それは現代では、事実上の空軍たる航空自衛隊の役目になりますが、1980年以降の我が国はある意味、大変幸運に恵まれた環境であったと言えます。それはF-15イーグルという類い希なる名機の大量保有です。

飛び抜けた性能を持つ兵器の開発・誕生には、それを必要とする危機感が欠かせない要素となる事が多いのですが、この場合、それはソ連のMiG-25(ミグ25)フォックスバットでした。この機体はマッハ3を超えて飛行する様子がレーダーに捉えられた事もあり、西側陣営からは大いなる脅威だと考えられていました。
航空機に限らず、陸海空合わせて兵器の性能は明確には公開されません。これは手の内をわざわざ敵国に教える必要もなく、発表したとしても、敵国に深読みさせるような控えめな数値を出すことが常です。MiG-25もまた、そんな秘密のベールに包まれた機体でした。そして、それに対抗すべく危機感を持って開発されたのがアメリカのF-15だったのです。

そして東西冷戦さなかの1976年、ベレンコ中尉亡命事件が起こりました。演習中のMiG-25が突如進路を変え、日本の防空識別圏へと侵入したのです。該当機が低空飛行に移ると日本のレーダー網はそれをロストし、スクランブルしたF-4EJ戦闘機も対象機を発見できない中、MiG-25はあろう事か函館空港に強行着陸しました。子供心にも、当時のTVも新聞も、ニュースはもう大騒ぎだった記憶があります。軍事機密の機体を取り戻す為にソ連が攻めてくるとの憶測すらあり、函館空港の周囲を陸自の戦車が取り囲む程の大事件でした。
そして肝を冷やした日本を尻目に米軍が機体を分解調査し、恐れていた程の性能ではないことがわかりました。高速・高機動・長航続距離の優れた攻撃用戦闘機であると想定していたにも関わらず。実際には高々度迎撃用の防空戦闘機だったわけです。幻のMiG-25に対抗すべく開発された結果として、完成したF-15イーグルは飛び抜けて世界最強の機体となりました。

そして、それは同時に同盟国への輸出という点で問題を孕みました。軍事兵器を輸出すれば儲かるのは当然ですが、その開発には膨大な費用がかかる為、数を作れば開発費を頭数で割ることで、自国における調達費も下げることが出来ます。
しかし、チタン合金を多用した機体設計に強力な双発エンジン(ジェットエンジンが二つ)も相まって、信頼に足る同盟国の中で高価な機体を買える国が極めて限定されてしまう事態になったのです。そんな中、日本はF-15Jを総計約200機も購入(ライセンス生産)し、それによって周辺国に対して空軍力での大きなアドバンテージを得ました。アメリカ空軍でさえ廉価機であるF-16と合わせての「Hi-Lo-Mix」運用を甘受せざるを得ない中、日本はF-15のみを主力としたのです。モンキーモデルとはいえ、足りない機能は自国の機器で補いますから、そんな強力な制空戦闘機を大量保有する国に喧嘩を売ろうなどと誰が思うでしょうか。
その事実は強力な抑止力となりました。ちなみに、今現在までにおいて戦闘で撃墜されたF-15は、世界で一機も存在しません。

しかし、かつての零戦がそうであったように、時が流れればいかに飛び抜けた傑作機とて旧態化していきます。ですが、それでもF-15はなお名機でした。なぜならば、基本性能が優れていた上に、大柄な機体によって新しい電子機器を搭載するスペースが存在したからです。レーダーや電子装備、つまりアビオニクスを更新する改造を施すことにより、まだまだ現役の第一線で戦える機体に改造することが出来たのです。

時は流れて21世紀となり、F-15Jはともかくとして、その一世代前の戦闘機であるF-4EJ改は「ファントム爺さん」などと呼ばれ、機体疲労寿命を迎えつつありました。その後の次期F-Xとして空自が強く望んだのは、最強のステルス戦闘機たるF-22ラプターでした。徹底的にステルス性を追求したこの機体は、レーダーに捉えられても鳥程度にしか映らないとされています。
かつての大東亜戦争での空戦といえば、有視界の短距離で急旋回を繰り返して敵機を機銃で撃ち落とす、いわゆるドッグファイトでした。そして現代はミサイルの時代であり、ステルス性に優れたF-22は敵のレーダーに捕捉される前に敵機をレーダーで捉え、先行してミサイルを発射して撃ち落としてしまう、という一方的な戦闘を行うことが可能です。

1980年当時最強のF-15戦闘機によって周辺国へのアドバンテージを得ていた航空自衛隊が、その次の世代として最強のステルス戦闘機たるF-22を望む。それはごく自然な成り行きであり、国防上大きな意味のある事でした。
しかし、その取得には大きな壁が立ちはだかります。それは先端軍事機密を守る為のスパイ防止法が日本に無い事です。そればかりか、イージス艦の機密情報がコピーされて外部へ持ち出され、中国籍の妻を持つ自衛官の自宅に持ち帰られていた事案が発覚します。日本はアメリカの信頼を完全に失いました。
さらにはファイル共有ソフトの使用による暴露ウィルス感染により、海自の使用している海底地形マップデーターと表示閲覧用のソフトが一式で流出し、インターネットを通じて世界中にぶちまけられて拡散しました。私はそのあまりの詳細さに、思わず背筋が凍る思いがしました。これは潜水艦を運用するには必須のデーターであり、日本近海へ進出する中国への大きなプレゼントになった事でしょう。

これらのあり得ない程の失態も重なり、最強のステルス戦闘機の軍事機密を守る為、アメリカ議会は同盟国に対する禁輸を決定し、交渉は頓挫してしまいます。
その後も何度か希望の光は見えたり消えたりし、空自は頑なにF-22を熱望したのですが、遂に米民主党オバマ政権の軍事費削減政策によって米軍の調達すら大きく減らされ、その生産ラインは閉じてしまったのです。これはすなわち、F-22の取得が永遠に不可能になった事を意味します。

その後の次期F-Xとしては欧州機も候補に挙がっていましたが、それは元より本命とはなり得ませんでした。そこに至る理由の一つが、大東亜戦争緒戦から中程までにおいて無敵の戦闘能力を誇った零戦を「劣等民族のイエローモンキー」と馬鹿にしていた日本人が開発したことです。再び同様のことが起こるのを恐れた米国は、GHQ占領下の戦後日本に航空機開発を許しませんでした。何しろ、大東亜戦争緒戦当時の米軍において「ゼロファイターに遭遇した際、同数なら戦闘を避けて帰投せよ」との命令が出ていた程です。そんな日本人に戦闘機の開発を許せば、またいつの日かとんでもないものを作り出すに違いない。痛い目に遭ったアメリカがそう考えるのも至極当然のことかも知れません。
時代は一気にプロペラ機からジェット機へと移りゆく中、約七年間の禁止期間とはいえ日本の航空産業はノウハウを得る機会を失い、衰退しました。技術というものは継続するからこそ発展するのであり、一旦途切れてしまえば失われてしまうのです。そして機体整備の統一性や米軍との連携から考えても、現状はアメリカ機を買うしか選択肢が無いのが実情だと言えます。

さて、そうなるとF-22との「Hi-Lo-Mix」を構成する予定のF-35ライトニング2しか選択肢が無いのは元より明らかでしたが、これは本来ならばそう悪くない買い物になるはずでした。なぜならば、F-22には及ばないもののそれなりのステルス性能を持ち、かつレーダーや電子装備、すなわちアビオニクスと呼ばれる半導体絡みの機器は日進月歩であり、10年も経つと大きく進歩します。その部分ではF-22をも上回る性能があるからです。

ですがF-35には大きな懸念がありました。それは、標準機、垂直離着陸機、空母艦載機、というABC三つのタイプを網羅すべく開発が進められた事です。この陸海空軍の要望を全て満足する機体がすんなり開発できれば万々歳なのですが、戦闘機に限らず「設計」の一般論として、欲張った複数の要求を満たそうとすると往々にして問題が発生して行き詰まり、難産となるのです。これは分野こそ違えども設計エンジニアの私からすれば常識中の常識であります。
案の定、F-35の開発は遅延に次ぐ遅延が続き、自ずと開発費用はかさみ、廉価機であるはずが随分と高いものになってしまいました。価格的なメリットは確実に失われるでしょう。そして先の報道によれば、2017年に日本に引き渡し予定の最初の4機のF-35Aが日本の要求仕様を満たせない事が明らかになりました。具体的には、機動性能の低下と短距離対空ミサイルが搭載不可であることです。今時、対空ミサイルを積めない戦闘機など使い物になりませんから、これは即ち、実戦配備は不可能であり、使い物にならない…との報道も見受けられます。特に産経は以前からF-35を目の敵にしており、論調も強いものです。

しかし、いずれにしてもまずアメリカでの訓練飛行があり、飛行小隊を組める数が揃って実戦配備に就くまでには、最初の引き渡しから更に数年がかかるでしょう。その間に完成型へと開発が進み、全てソフトウェアのアップデートで無事解決する事を祈るのみです。
F-4EJファントムは退役寸前、F-15Jは防衛予算削減で近代化改修は毎年数機しか行えず、改修済みの機体は五十機程度と、第一線を張れるのは総計約二百機の1/4程度しかありません。そして、次世代ステルス機のF-35Aは計画遅延の連続。日本の空を守る航空自衛隊にとって、ここ数十年の間かつて無かった戦力の谷間の状況になりつつあります。少なくとも、F-15Jの圧倒的性能で守られていた日本の空は、そのアドバンテージを失いつつあるのです。この事は、是非危機意識を持って頂ければと思います。

そんな中、中国はロシア機とアメリカ機のコピーであるJ-11及びJ-10を計三百機あまり保有するばかりか、ロシアの新鋭機Su-35を二十四機も購入するというのです。前述のように軍事兵器の売却には本来の性能を落とした、いわゆるモンキーモデルを輸出するのが当たり前です。ですが、Su-35はエンジンに推力偏向ノズルを搭載した高機動モデルです。更にはアフターバーナーを使用せずに超音速飛行の出来るスーパークルーズも可能です。中国は勿論、近い将来には劣化コピーした機体を開発して大量配備するつもりなのも間違いないでしょう。
そして非常に高いとされる機動性能を裏付けるかのように、近年のロシア製戦闘機は極めて美しく躍動的なデザインとなっています。私見としては、これは設計性能が優れている事の証左であろうと思います。

それに対し、航空自衛隊は改修した従来型機を使って対応せざるを得ませんし、待ちわびる新鋭機のF-35が本当に予定の性能を満足するのか、そしていつ完成するのか怪しい状況です。勿論、現代の空の戦いは戦闘機の性能だけで決まるものではありません。搭載ミサイルの性能や、空の司令塔たる早期警戒管制機(AWACS)の能力に依存する部分も大きいです。しかしながら、F-22ラプターの取得に失敗したのは本当に痛いことです。
このような事が戦闘機の代替わりの度に発生しては、とてもたまったものではありません。スパイ防止法を整備する事も急務ですが、航空兵器をアメリカに頼り切っているからこそ、このような事が起こるのです。では、それを解消する為の国産化はどうなっているのでしょうか。

空自はF-2戦闘攻撃機を約90機保有、運用しています。これは事実上、海に囲まれた島国日本ならではの、対艦攻撃に特化した機体です。2000年に運用が開始された比較的新しい4.5世代機のこの機種は当初、エンジン以外の全てを国産開発する計画でした。何故エンジンを除くのかというと、これはジェットエンジン(ターボファンエンジン)は独自のノウハウに頼る部分が多く、高出力のものを国産で自力開発するのが難しいからです。これは、プロペラ機からの切り替わり時期に航空機開発を禁じられていたことが未だに影響しています。
ところが、機体の独自開発においてもアメリカからの圧力がかかり、既存のF-16戦闘機をベースにしての日米共同開発、共同製造とする事となりました。しかも、日本側が新たに開発した新技術は全てアメリカに譲渡するという不平等な取り決めでした。日本側の開発を請け負った三菱重工業はF-16の垂直尾翼以外は全て設計し直すという徹底ぶりであり、その目標性能の高さと相まって、アメリカ側からは「ニューゼロファイター」とも呼ばれました。
そして完成を見たF-2はF-16ベースの小型の機体ながら、大きな対艦ミサイル4発を装備できる世界最強とも言える対艦攻撃機となりました。この「攻撃」という表記については、例によって「周辺国への配慮」というものが必要とされ、当初は「支援戦闘機」と呼ばれていました。何だか本当に意味不明な分類ですが、F-2が対空戦闘も可能な対艦攻撃機であることは間違いありません。また、この機の塗装色である洋上迷彩は非常に美しいのでファンも多いのです。

そして、買う事の出来なかったF-22ステルス戦闘機の代わりとしては、日本は独自に「心神」という実証機を開発中です。これはレーダーに映りにくいステルス性を重視した第5世代の制空戦闘機を目指したものです。研究段階の実証機ですから、まだまだ道のりは長いですが、大いに期待せざるを得ません。
そして、純国産機開発において最もネックとなる高出力のエンジンですが、これまでに欧米からのライセンス生産で技術を蓄積してきたであろうIHIは、予算さえ付けてくれれば独自開発可能であると言っています。近い将来、日本の空を国産開発のステルス制空戦闘機が守る日が来るかも知れません。それを信じ、何とかこの目で見届けたいものです。

さて、近未来の話はここまでとして、現状がどうなのかを考えてみましょう。
スホーイはロシアの広い国土をカバーする為、長大な飛行距離を持っています。作戦行動半径は約1500km、そして中国全土の基地に配備されたスホーイ及びそのコピーの数は約300機。全13ヶ所の基地のうち対日行動半径内にあるのは6ヶ所となります。そして中国空軍機の稼働率は決して高くありませんから、それを60%とすれば対日戦に割けるのは精々70~80機前後と考えられます。
それに対し、空自の主力たる近代化改修済みF-15Jは約50機前後、稼働率を80%として総勢40機。数の上では不利となります。そしてレーダーの最大探知距離はほぼ同じ300km程度ながら、F-15Jは最大24目標を探知・同時追尾して最大8目標を同時攻撃可能ですが、対するスホーイは最大10目標探知の2目標同時攻撃。
火器管制システムの差、そして800km先を見渡せる空の司令塔AWACSの有無により、空自のF-15Jが勝利を収めるシナリオが見えてきます。しかし、中国はモンキーモデルとは言え、限りなく第5世代機に近い新鋭のSu-35を購入するわけですし、レーダーを含むアビオニクスの更新も行われており、同時攻撃目標数を6とする改修が進められているとの情報もあります。
ミサイルにおいては、空自のAAM-4(99式空対空誘導弾)は撃ち放し能力を持つ上に約100kmの射程があり、現状では支配的でしょう。しかしながら、もはや空自にはかつての新鋭最強戦闘機F-15に支えられた圧倒的アドバンテージはありません。一旦接近戦となれば、ドッグファイトにおいては明らかにスホーイ優位と考えるべきでしょう。第5世代戦闘機のF-35が使い物になるまでの間、そしてその後も国防を担う大きな柱として、歩みの鈍いF-15Jの近代化改修を急がねばならないのは勿論のことです。

先述の通り、戦闘機に関してはエンジンの問題で日本独自での開発は厳しいのが現状です。ですが、その他兵器に関しては独自の新鋭型を次々と生み出しています。
10式戦車、そうりゅう型潜水艦、ひゅうが型ヘリ空母、あきづき型日本版イージス艦、そしてP-1哨戒機。こんな国力と技術力を持った国は滅多となく、世界でも数える程でしょう。元より独自ミサイル開発では飛び抜けたものがありましたが、次々と完成していく新型兵器は頼もしい限りです。

そして、武器輸出三原則の見直しにより、早速オーストラリアがそうりゅう型潜水艦に食指を動かしています。これはディーゼル・エレクトリック艦にAIP(非大気依存推進)を組み合わせた通常動力艦で、以前は数日間が最高であった水中持続時間を2週間以上に延長したものです。また、スウェーデンやドイツのAIP搭載潜水艦の水中排水量が2000t前後の中、そうりゅう型の4200tの水中排水量は通常動力潜水艦としては飛び抜けて最大のものです。勿論、原子力潜水艦とは違って原子炉冷却ポンプを動かし続ける必要もない為、高い静粛性を誇ります。
1980年代まではスクリューのキャビテーションノイズが大きく問題視されていた日本の潜水艦ですが、100年にも及ぶ技術と努力の蓄積で世界トップレベルまで到達しました。

中国がロシアから購入を決めたラーダ型もオプションでAIP機関が搭載できますが、銅鑼を鳴らして航行しているようだと形容される中国の原子力潜水艦の欠点を補完する為、恐らくAIP機関搭載型で間違いないと考えるべきでしょう。
また、ロシアがあてにしていたインドがフランスからスコルペヌ級潜水艦の購入を決めてしまいましたから、ロシアとしては何が何でも中国に売りたかったのかも知れません。この中国の潜水艦増強、日本は慎重に警戒する必要があります。元より中国は約60隻の潜水艦を保有しており、その数の力に静粛性に優れたラーダ型が加わることになります。

それに対し、日本は長年に渡り潜水艦の保有数を16隻に制限してきました。これは例によって「周辺国への配慮」という事と、東西冷戦時代に旧ソ連の潜水艦を太平洋へ進出させない為の必要最低数として設定されていたものです。
ところがこの制限があるにも関わらず、潜水艦製造技術を保持する為に、毎年一隻の潜水艦を建造し続けていました。つまり、通常ならば30年は使える潜水艦を16年でスクラップにし続けていたわけです。
ようやくそれが見直され、22隻+2隻(訓練用)へと改められる事になっています。ただし、艦はスクラップにしなければ確保出来ますが、乗員がいません。海自は護衛艦でも定員割れで運用せざるを得ない程に人手不足が深刻であり、早急な乗員確保が課題となっています。

オーストラリアは米国の同盟国としては仲間でありますが、実際はあからさまな人種差別のある国であり、個人的にはあまり好きません。それに加え、売り渡した軍事機密が中国側へと流れる可能性も否定しきれず、あくまで一世代前の技術を移管する程度に留めておいた方がいいかとは思います。

陸自の最新戦車となる10式ですが、これは他国の同等性能の戦車より3割近く小さく軽量なボディを実現しています。前モデルの90式に関しても台湾が強い興味を示して売って欲しいと打診していました。その後継の10式はインド、台湾から打診があり、潜水艦に至っては退役艦でもいいからと打診が複数ありとのこと。
日本製兵器が対中国用の装備として環太平洋諸国の注目を集めているのです。

そして輸出手続きが始まったものに水陸両用の飛行艇US-2があります。これは救命・海賊対策を目的(名目)としてインドに輸出されるのですが、波高3mでも離着陸可能な水艇です。波高3mと言えばかなりの荒波であり、欲張った武装をてんこ盛りにした挙げ句、重心が高くなってしまった韓国のイージス艦が直進できず蛇行する程の荒れ具合です。US-2飛行艇が飛び抜けて優秀なのか、それとも韓国イージスの出来が悪いのか。その判断は読者の皆様にお任せすることにいたしましょう。

そしてP-1哨戒機に関しては、老朽化が進むP-3C哨戒機の後継として独自開発が進められていました。川崎重工の設計製造です。多少のトラブルがあり約1年の遅れが出ましたが、量産型1号機、2号機が海上自衛隊の厚木基地に納入されました。
4発ジェットエンジン搭載の機体で、レーダー走査にモーターを使わないフェイズドアレイレーダーを搭載し、操縦系統に光ファイバーを用いたフライ・バイ・ライト方式を採用しています。水中の潜水艦を発見するには磁界の変化を用いますが、機内配線の電気信号による磁界発生を抑えられますから、より深い海中の潜水艦探知が期待できます。
また、アメリカもP-3C後継の新型哨戒機P-8を開発中ですが、これはB737旅客機をベースとした為、長時間低速飛行に無理が出て開発が難航しています。結果として、機体ごと新規開発した日本のP-1が先に完成しました。

更にはP-1は非常に静かな航空機で、プロペラ前任機のP-3Cよりも静粛性が高い程ですが、例によって自称市民団体が早速クレームを付けています。「騒音源が存在する限り、私たちは受け入れられない。性能を向上させた機種導入は周辺国をいたずらに刺激し緊張を高めるだけ」との主張です。
騒音問題を訴えるはずの市民団体が「性能を向上させた機種導入は周辺国をいたずらに刺激し緊張を高めるだけ」とはこれいかに。背後関係が見え隠れするのは当然ですね。日本の対潜哨戒能力が高まると、余程都合の悪い人達がいるのでしょう。

これらの同盟国に注目される兵器ですが、どの国に売るか、どれほどダウングレードして売るか、十分に見極めねばなりませんが、国産兵器の輸出は同盟国の為でもあり、自国の為でもあります。
兵器開発には莫大な資金が必要であり、モンキーモデルを同盟国に輸出できれば開発費を頭数で割ることが出来、自国調達価格を下げることも出来ます。そうして資金を回収しつつ、また次なる新型兵器を開発する予算へと回す。これを上手く実現できれば日本の防衛産業は発展し、規模を大きくしていくことが出来ます。そしてそれが、自国開発した独自兵器での自国防衛をなす道へと繋がります。アメリカ、ロシア、フランス、ドイツ、これらの国では当たり前に行われていることです。

さて去る三月、南シナ海の西沙諸島周辺海域において、ベトナム船籍の漁船が中国海軍の艦船から警告も無しに発砲を受けて炎上しました。中国が領有権を主張して掠め取ろうと狙っている海域ですが、ベトナム政府の抗議に対し、中国は「でっち上げだ」と回答する始末。
はたして、ベトナムが強い軍隊を持っていても同じ事が起こったでしょうか?決して起こらなかった事案だと思います。完全に舐められているからこのような事が起こるのです。そしてこれは、急ピッチで軍拡を続ける中国に対応しきれなくなった場合の近未来の尖閣や沖縄の、そして日本の姿でもあります。
国民の生命・財産を守り、国体を維持する為に軍事力は必要です。強い軍隊を持っていれば、滅多なことがない限りは侵略の意図を挫く事が出来ます。また、万一火の粉が降りかかっても、それを払いのける事が出来ます。

同じく中国と領有権係争のあるフィリピンですが、世界一弱い軍隊と呼ばれるに相応しく、陸軍は40年落ちの軽戦車が約40両、海軍は45年落ちの中古カッター(小型巡視船)が2隻、空軍に至っては8年前より戦闘機が無い状況です。
そんなフィリピンが軽戦闘機(練習機)を12機、韓国から購入する事になりました。このT/A-50を韓国は「国産機」と称していますが、設計はロッキード・マーチン、製造も5割以上をロッキード・マーチンが担当する機体です。要するに決して安かろう悪かろうの韓国製ではなく、小型ながらミサイルも装備できる、素性は悪くない機体だと言えます。
アメリカに頼んで退役・保管されている中古のF-16辺りを供与してもらうのも手だと思いますが、ろくに整備も出来ずに稼働率が落ちることを思えば、T/A-50の方が賢い選択かも知れません。
一機約35億円の軽戦闘機が12機ですからたかだか知れた戦力ではありますが、あると無いとでは大違いです。中国による侵略を阻むべく、フィリピンは舵を切ったと言えます。勿論この決断は正しく、我々もその意気込みを大いに見習うべきでしょう。

そして、フィリピンから日本には巡視船を供与して欲しいとの打診があり、2013年度のODA円借款を利用して10~12隻の新造船が供与されると決まっています。日本の造船産業にとってもいい話であり、中国の覇権主義に対抗する包囲網整備の一手にもなり、一石二鳥とはこの事です。
この巡視船供与の話はフィリピン人の間ではかなり広まっており、ネット上の自衛隊関連動画に付けられたコメント欄には「Thank you Japan !」の文字が踊り、フィリピンバーへ行けばお姉さんにまで礼を言われてしまいます。一石三鳥ですね(笑)。

さて最後に、この原稿を書いている今現在(4/11)はまだ発射の一報はありませんが、北朝鮮絡みについて少し。
約二ヶ月に及ぶ米韓軍事演習が始まった辺りから強行姿勢を見せ始めてエスカレートさせてきた北朝鮮ですが、アメリカは一歩も引かない姿勢を保ってきました。
古い機体とはいえ核兵器を搭載できる現役戦力であるB-52戦略爆撃機を演習に派遣し、それに反発する北朝鮮に対し、更に驚いた事にB-2ステルス戦略爆撃機を二機派遣、韓国の演習場に模擬弾を投下して帰還しました。
B-2スピリットといえば、我々と同じ人間が設計したとはとても思えない、尾翼のない全翼機です。空力的に考えればまともに飛ぶのが不思議ですらありますが、コンピューターの制御によって見事に飛行します。
一機約2000億円ですから、約1500億円の海自イージス艦よりも高価な事になります。ステルス性を生かして敵地深くまで潜入し、最大16発の核爆弾を投下します。こんな機体を二機も送られて攻撃されれば、小国ならば消滅してしまうでしょう。
ちなみに、この二機の派遣に要した費用は約2億円。護衛の戦闘機も当然付いていたでしょうが、凄まじいランニングコストです。

上記の事だけでも凄い話ですが、更に沖縄に暫定配備しているF-22ステルス戦闘機を韓国に送り込み、更に極め付けとして、中東に展開していた原子力空母ジョン・C・ステニスを西太平洋に移動させました。当然ながら横須賀の米軍基地は第七艦隊の空母ジョージ・ワシントンの母港ですから、同じ海域に二隻の空母が存在することになります。
アメリカが同一海域に空母を三隻集めたとき、それは開戦の準備が整った事を意味します。二隻の場合、それは強い警告を意味します。1996年に勃発した台湾海峡ミサイル危機では、ミサイルを海中に打ち込んで威嚇する中国に対し、アメリカは二隻の空母を派遣しました。その結果、恐れをなした中国は引かざるを得なくなりました。
ですが、今回の北朝鮮は引きません。引かないばかりか攻撃対象として在日米軍基地を名指ししたり、核でアメリカ本土を攻撃するとまで言ってしまっています。イラクのフセインですら、そんな直接的な挑発はしませんでした。異常と言うか、正常な判断力を失っているのではとさえ思えます。

そして空母は決して単独で移動することはなく、「空母打撃群」と呼ばれる艦隊を引き連れて行動します。イージス艦の護衛を複数引き連れ、海中には原子力潜水艦を伴い、更には補給艦も同行します。そして監視衛星すら移動させることもあり、空母を動かすだけでも要する費用は莫大な金額となります。
更に米軍はミサイル原子力潜水艦シャイアンを送り込み、イージス艦フィッツジェラルドを送り込み、あろう事か移動式の巨大な洋上Xバンドレーダーまで投入しています。
同盟国である韓国・日本を守る意思表示なのでしょうが、恐らくそれだけでは無いでしょう。それは中国に対する警告です。アメリカを怒らせればこうなるのだと、軍拡に勤しむ中国共産党へのメッセージも込められているのでしょう。

韓国発表の情報、すなわちアメリカの軍事偵察衛星からの情報によれば、ムスダン、ノドン、スカッド、の三種類の弾道ミサイルが発射準備を整えていると伝えられています。射程距離から言えば、ムスダンはグアム、ノドンは日本、スカッドは韓国が仮想目標となるでしょう。
前回の12月の自称衛星打ち上げロケットは、スカッド→ノドン→テポドン→テポドン2、と射程距離を伸ばしてきた同一系統の発展型と想定されるものでしたが、今回の中距離弾道ミサイルムスダンは全く別系等であり、旧ソ連の潜水艦発射弾道ミサイルをベースとしたものです。既にイランに輸出されて発射実験済みとの情報もありますが、確証はありません。
発射された各種ミサイルがグアムへ向かえば展開中の米イージス艦が迎撃するでしょうし、日本へ向かえば海自のイージス艦が迎撃するでしょう。例によって日本は海上配備型のSM-3ミサイルで狙い、撃ち漏らしを地上からのパトリオットPAC-3が受け持つ事になります。また、在日米軍基地も約400発のPAC-3配備を完了しているはずです。
ただし、PAC-3の射程は約20km程度ですから、ピンポイントでの防御、すなわち首都圏や軍事基地等に限られます。それ以外の大多数の日本人を守るのは、二隻でほぼ全土をカバーするイージス艦のSM-3迎撃ミサイルとなります。

本来、高性能な対空レーダーを備えたイージス艦はミサイル飽和攻撃から虎の子の空母を守る為に開発されました。つまり、日本は守るべき空母も無いのに高価なイージス艦を六隻も保有したわけで、自分自身を守る事も出来る護衛艦隊には贅沢すぎる装備だとも言われていました。
ところが今やMD(ミサイル防衛)の要として、日本列島という巨大な空母を守る任務に就いています。大化けしたというか、決して無駄にはならなかった好例と言えます。

自衛隊と米軍はそれぞれ自力で弾道ミサイルを迎撃できますが、苦しいのは韓国です。彼らは高価なイージス艦を三隻も保有していますが、SM-3迎撃ミサイルを装備する予算が取れません。ミサイルが上がっても、ただレーダーに映るのを見ているだけです。
また、差し当たり対北朝鮮に必要とも思えないF-15k戦闘機、一機当たり125億円を40機も保有していますが、地上発射型のパトリオットPAC-3が高額すぎて導入を断念し、ドイツから中古のPAC-2を購入しているのみです。日本が保有しているからと高額な正面装備に手を出し、肝心のものが買えないのです。
そして中古のPAC-2は近接信管によってターゲット近傍で爆発し、飛散する破片によって目標を破壊するシステムの為、弾頭を破壊できる確率が低くなります。湾岸戦争時の実績迎撃率では40%以下であったとも、10%を切っていたともされています。韓国国民がどこまで情報を得ているかはわかりませんが、もし事実を知っていればさぞ心細いことでしょう。

金正恩体制になってたったの一年、朝鮮半島情勢は緊迫の度合いを一気に増しています。中国共産党がまともに思える程、北朝鮮は狂った行動を続けています。
アメリカも引きませんし、北朝鮮の振り上げた拳の降ろしどころは一つしかないでしょう。複数ミサイルを発射するも全て海へと落ちるコース設定とし、日米いずれも迎撃を見送るケースです。
この文章を皆様が読まれる頃には、そうなって事態が沈静化している事を願います。
(2013年4月11日記)

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いま目の前に迫っている日本の現実を認識した上で、我々国民ひとりひとりに一体何が出来るのかを共に考えてまいりましょう。


黒井執斗様、深田 匠先生、お忙しい中いつも御執筆いただき心から感謝申し上げます。


最後までご覧下さり、誠にありがとうございました。





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『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート3 』 - 2013.02.15 Fri


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先日、北朝鮮による核実験が行われました。

そしてこの度早くも軍事研究家の黒井執斗様が最新軍事情勢レポートの第3弾を書き上げて下さいました!
今回のタイトルはズバリ『 核の拡散と日本の決断 』です。

我々一般の国民には非常に難しい軍事情勢をいつも解り易く解説して下さってますが、今回はアニメや漫画を例にしておられる部分もあり更にいつもより理解し易くなってます!
ご熟読の上、一人でも多くの方に見ていただけるようご協力をお願い致します。

※過去の軍事情勢レポートにまだ目を通しておられない方は、ぜひ併せてご覧下さい。
『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート1  今、試される日本の覚悟~牙を剥く中国と暴走する北朝鮮~』
http://sensapo.blog.fc2.com/blog-entry-4.html
『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート2  開戦前夜は近し 』
http://sensapo.blog.fc2.com/blog-entry-7.html

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『 核の拡散と日本の決断 』
(軍事研究家 / 黒井執斗)

2013年(平成25年)2月12日正午前、国際社会の制止を振り切り、北朝鮮による三度目の地下核実験が実施されました。2月の初めに米軍の大気観測機WC-135が嘉手納基地に飛来していた事からも、その時が迫っているのは明らかでした。
また、前日の2月11日には、韓国政府筋の話として「核実験のための人員が撤収した」との報道がありました。先のロケット打ち上げの時にも「発射台から下ろして分解している」と韓国報道があった直後に発射されましたから、核実験が直近に迫っていると考えるべきなのは当然です。そして、やはり予測通りであったわけです。
では、今回は「核」について考えてみましょう。

「E=mc^2」、20世紀初頭にアインシュタインの特殊相対性理論から導き出された、このシンプルでエレガントな関係式は、近未来における大量破壊兵器の出現を予言するものでした。「E」はエネルギー、「m」は質量、「c」は光速です。
この関係式を一言で説明するとすれば、「質量とエネルギーには等価性がある」ということです。そして、「c」は光速というとてつもなく大きな数字です。それを更に二乗した係数がかかっているのですから、「物質の質量が減ずるとき、そこには凄まじいまでに膨大なエネルギーが発生する」ということになります。

「科学」とは、人間の持つ大いなる力です。そして科学の発達は文明の発展と密接な関係があり、更にいえば、科学は軍事兵器と切っても切り離せない関係があります。多くの場合において、科学の発達は軍事兵器の発達と表裏一体です。そして、最先端の軍事技術はやがて平和利用され、私たちの生活を変えてゆきます。
遠く離れた敵地を攻撃する為に開発された弾道ミサイルは、その技術を転用すれば打ち上げロケットとなり、人工衛星を地球周回軌道へと投入したり、他の星へ探査機を送ることが可能となります。

我々が毎日使っている便利な電子レンジは、レーダーという軍事技術の副産物です。例えばイージス艦には特徴的な六角形の平面レーダーが4基装備されていますが、このAN/SPY-1レーダーを使うときには、屋外にいる見張り員等の乗員は全員艦内へと退避しなければなりません。強力なレーダー波を浴びると、「レンジでチン」状態になってしまいます。
車で出かけるときにはカーナビが便利ですが、GPSは軍事衛星からの電波を利用して座標を取得します。当然のことながら民間に開放されている電波はわざと誤差を生じさせてありますから、米軍が軍事作戦に利用する電波は遙かに精度が高い事になります。付け加えるならば、民生用GPS機器の精度が突然悪くなれば、それは米軍が戦争を開始する合図でもあるでしょう。
そして、今皆様がこの記事を読む為に利用しておられるであろうインターネットもまた、本来は軍事目的に開発されたものです。ネットワークを蜘蛛の巣のように張り巡らせておき、もしどこかの要所がごっそりと敵の核攻撃で消滅しても、迂回路を通って通信が確立出来るように研究開発されました。我々は今、それを利用して便利なIT生活を送っているわけです。

第二次世界大戦当時、世界一の科学力を誇っていたナチスドイツが世界に先んじて新型爆弾、すなわち核兵器の開発に成功・保有することを恐れたアメリカ・イギリス・カナダは「マンハッタン計画」を推進しました。そして多くの優秀な頭脳と莫大な予算を投じた結果、原子爆弾の先行開発に成功します。1945年(昭和20年)7月、世界初の原爆実験たる「トリニティ実験」は成功を収め、その凄まじい威力が実証されました。
もしこの世に神が存在するとすれば、この核の炎を手に入れたことにより、人類
は神なる存在に一歩近づいたと言えるでしょう。
そして同年8月には戦略爆撃機B-29スーパーフォートレス(超空の要塞)によって広島と長崎に原爆が投下され、数十万人の一般市民が犠牲となりました。ここでまず我々が疑問に思わなければならないのは、何故アメリカが原爆を使用したのかです。

遡ること数ヶ月、かつて西太平洋の覇者として君臨した大日本帝国海軍は既に壊滅的状態にありました。燃料は底をつき、制空権、制海権は共に失われ、日本は丸裸も同然でした。はっきりと言ってしまえばもう土俵際であり、どう足掻いても負けは決まっていました。
ですが帝国海軍にはまだ、虎の子の戦艦大和が残されていました。この「日本」を意味する「大和」と命名された史上最大の戦艦を温存したままで、日本が敗戦を迎える事は許されませんでした。不沈艦と称された最強の戦艦たる大和には死に場所が必要だったのです。馬鹿馬鹿しい話だと思われる方もおられるでしょうが、かつての日本とは、そんな武士道精神を持った国だったのです。
同年4月の桜の咲く頃、残された駆逐艦(小型の軍艦)をかき集め、燃料の重油を備蓄タンクの底から手動ポンプで汲み上げ、帝国海軍最後の艦隊は米軍の上陸作戦が始まった沖縄を目指しました。航空機による上空援護もないままで沖縄に突入し、無事到達した際には浅瀬に乗り上げて沖縄を守る砲台となる。そんな無茶苦茶な、もはや作戦とも言えない、艦船による特攻計画が成功するはずもなく、襲来する延べ数百もの米軍機の攻撃を受け、沖縄を見ずして没した戦艦大和は永遠の眠りにつきました。

本土ではツインターボエンジンを搭載したB-29が酸素の薄い高々度で侵入してきても、残された数少ない日本の戦闘機は、なけなしの粗悪な燃料も相まって迎撃すら困難な事も多く、情け容赦ない本土絨毯爆撃によって敗戦は刻一刻と迫っていました。原爆を使わなくとも、もう結果は決まっていたのです。しかも、トリニティ実験によって原爆の凄まじい破壊力は実証されていました。にも関わらず、米軍は8月6日と9日に立て続けに原爆を投下しました。
アメリカは「原爆の使用により早期の降伏が得られ、多くの人命が失われる事を避けられた」と正当化していますが、これは戦勝国側から見た論理に過ぎません。勝てば官軍。歴史というものは、勝者にとって都合のいいように作られるものなのです。

では、原爆投下の目的は何だったのか。それは実戦で使用することによる「実験」だったのでしょう。街がどのように破壊され、どれだけの人間が死に、放射能の影響がどう出るか、それを試したのです。その証拠に、広島と長崎に投下された原爆は全く異なる構造です。広島にはウランを用いたガンバレル型が、長崎にはプルトニウムを用いた爆縮レンズ型が使用されました。
そしてアメリカは次なる三発目の原爆を準備していましたが、日本の降伏により、それは使用されませんでした。その標的は京都であったとされています。碁盤の目状に整然と市街が形成された京都は、原爆の威力を試すのに最適だったからです。「貴重な文化遺産を守る為、米軍は京都を空襲をしなかった」などというのは戦後に捏造された美談に過ぎないでしょう。戦争とは、そんな生温いものではありません。
そしてもう一つの理由は、原爆の先行保有と使用により、アメリカが同盟国に対してアドバンテージを得ることだったでしょう。

では、アメリカは悪であり、日本は善であったのでしょうか。はたまた、日本は悪であり、アメリカは善であったのでしょうか。決してそんな単純な話ではありません。
アメリカにはアメリカの信義があり、日本には日本の信義がありました。その食い違いを外交交渉で解決できなかったからこそ、最終手段たる戦争へと至ったのです。ただ、勝者と敗者の間には圧倒的な発言力の差があるのは確かでしょう。

戦争を行う勢力間において善悪の区別がつきにくいのは、例えばアニメを観るだけでもわかります。1970年代のヒット作である「宇宙戦艦ヤマト」では、悪の権化のようなガミラス星人が登場します。しかし、彼らは滅び行くガミラス星から逃れ、移住する為に地球を攻撃していたのです。それが彼らの正義であったわけです。
また、1980年代のヒット作である「機動戦士ガンダム」には敵であるエイリアンは登場しません。人類同士の戦いであるわけです。覇者である地球連邦に対し、ジオン公国が独立戦争を挑むという骨子であります。そして1990年代のヒット作である「新世紀エヴァンゲリオン」では、使徒と呼ばれる謎の生命体が次々に現れて人類を襲います。全ての使徒を倒して平和になるかというと決してそうではなく、最終決戦が始まります。「やはり、最後の敵は同じ人間だったな」という台詞が印象的です。必ずしも難解な本を読まなくとも、ある程度のことは理解できます。人間同士の争いが絶えることは決してないでしょう。

さて、ナチスドイツの優れた科学技術、すなわち多くの研究資料や設計図、技術者の争奪戦を繰り広げた戦勝国連合は、アメリカに続いて次々と核兵器の開発に成功していきます。そして1962年10月、キューバ危機が勃発しました。アメリカは世界一の経済大国であり、軍事大国です。ところが、ソ連が小国たるキューバに持ち込んだ核ミサイルにより、アメリカは核による本土攻撃の危機に晒されたのです。あわや核を用いた第三次世界大戦に突入か、という危機でしたが、土壇場でソ連が核ミサイルを撤去したことにより、最悪の事態は回避されました。

しかし、これは大きな問題を突きつけた形になりました。たとえごく小さな国力しか持たない小国であっても、また国家ですらないテロ組織等の武装集団であっても、それらが核兵器を保有すれば大国アメリカは核攻撃を受ける可能性があるという事実です。
これに対処すべく、翌年の1963年にはNPT(核拡散防止条約)が国連で採択され、議論と交渉には長い時間がかかりましたが、1970年に発行しました。ところがこれは、アメリカ・ロシア・イギリス・フランス・中国の戦勝五カ国、つまりは拒否権を持つ常任理事国のみが核兵器の保有を認められ、それ以外の国は核の保有を禁ずるという内容でした。
当然ながらこれを「不平等条約」であるとして加盟しない国もありました。そして非加盟国であるインド・パキスタンは核兵器を保有するに至り、核保有について肯定も否定もしていないイスラエルですが、まず間違いなくこれを保有しているでしょう。イランも核開発を進めています。

そしてNPTを脱退した北朝鮮は今現在、地下核実験を繰り返しつつ、綱渡り的な恫喝外交を繰り広げています。彼らは既に数発から十発前後の原爆を保有していると想定されていますが、何故国際社会の非難と経済制裁の中で実験を繰り返すのでしょうか。理由は二つ考えられます。一つは、ウランとプルトニウムを使った違う種類の核爆弾を開発する為でしょう。そしてもう一つは、核弾頭の小型軽量化を目指していると考えられます。
核爆弾は保有するだけでは意味が無く、それを敵国に投射する手段が必要です。一番脅威を与えられるのはアメリカ本土を射程に収める大陸間弾道ミサイルに核を搭載することです。ですが、ミサイルやロケットというものは、その大きさからは考えられない程に小さな物体しか搭載できません。つまり、地球の重力に逆らって多量の燃料を含む自分自身の重さを運ぶことに多くのエネルギーを費やしてしまうのです。多段型の場合、一段目の噴射が終わればそれを切り離し、更に二段目の噴射が終われば二段目を切り離し、どんどんと自分自身を身軽にしながら加速を続けます。ペイロード、すなわち弾頭として搭載可能な核の大きさや重さは極めて限られており、核弾頭の小型軽量化を実現してこそ、初めてミサイルとセットで実用的な核兵器が完成するのです。
今回の北朝鮮の地下核実験は、弾頭の小型軽量化を目的とした、重水素の核融合による中性子の発生を利用したブースト型ではいないか、との憶測もあります。そして、先に発射された打ち上げロケットと言う名の事実上の弾道ミサイルのペイロードは500kg前後と推定されています。北朝鮮が大陸間弾道ミサイルに搭載可能な核弾頭を手に入れる確率は高く、それを一番脅威に感じているのはアメリカに他なりません。

そして、毎度お決まりの街角インタビューを放映するニュースでは「信じられない」とか「許せない」等の声が多いように思います。ですが、北朝鮮がこの時期に核実験をためらう理由など無いに等しいのです。
金王朝と軍幹部、そして共産党幹部が生き延びられれば、多少の国民が飢え死にしても大きな問題ではなく、軍と共産党による統治下にある国民が蜂起する可能性も極めて低い。加えて宗主国たる中国は国連の常連理事国ですから、拒否権の発動によって制裁決議は否決され、いつもの事ながら非難声明止まりになるに決まっています。そして尖閣絡みで緊張感が高まっている日中関係を鑑みれば、周辺の政情不安定を招くであろう軍事行動をアメリカが単独で発動する確率は低い。
このような情勢に加え、先の中国海軍フリゲート艦による射撃管制用レーダー照射問題をうやむやにするには、今回の核実験はあまりにも出来過ぎたタイミングでもあります。公海上であり得ない暴挙に出たことが暴露され苦しい立場にある中国が、今回の核実験の裏で糸を引いている可能性すら否定できません。

国連は決して世界平和の為の正義の組織ではなく、先の大戦における戦勝国クラブであることは明らかです。そして、中国とフランスは「酷い目に遭った国の代表」として常任理事国入りしているとも言えます。
日本は長年に渡り多額の運営費を拠出しているにも関わらず、悪の枢軸たる敗戦国であり、敵国条項によるところのならず者国家と定義されています。正直に言えば馬鹿馬鹿しい限りであり、常任理事国である中国は日本に対して50基以上の核ミサイルの照準を合わせ、北朝鮮に食料等の援助を続けています。日本国民の血税はODAとして中国に献上され、我が国を狙うミサイル、領海を侵犯する艦船、そして領空を脅かす戦闘機に化けています。こんな異常な国は他にないでしょう。

そして付け加えるならば、対中ODAを見直すことは勿論ですが、日本は憲法第九条見直しを検討すべき時期に来ています。皆様もご存じでしょうが、ここでその条文を見てみましょう。
1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

これは一見、素晴らしいまでに崇高な思想だと言えるかも知れません。ですが、もしこれが本当にすばらしいものならば、それに追従して真似をする国が出てきてしかるべきです。ところが、そんな国は未だに一つもありません。
なぜならば、国家には国民の生命と財産を守る義務があり、その為には軍隊を保有し、国益を守る為の交渉が決裂した際の最終手段たる戦争に備えなければならないからです。もちろん、交戦権が無ければ満足な自衛すら出来ません。
九条教の人々は「無防備宣言」をすれば他国に侵略される事は無い、と主張します。ですが、そんな事はあり得ません。「軍」ではない「自衛隊」と在日米軍が無ければ、日本という独立国家は侵略されて即座に消え去るでしょう。GHQによって押し付けられた、お飾りに過ぎない平和憲法をいつまでも有り難がっている事態ではないのです。

今やNPTの枠組みは崩壊寸前であり、核は世界へと拡散しつつあります。北朝鮮が核弾頭の小型化に成功して弾道ミサイルへの搭載を実現すれば、それはパキスタンを筆頭とする反米勢力へと輸出されるでしょう。アメリカ西海岸は北朝鮮の射程内に、東海岸はパキスタンの射程圏内に入る事になりますから、アメリカが手をこまねいて見ているはずが無いとも言えます。
では、日本はどうなのかというと、今はMD(ミサイル防衛)しか手持ちの駒はありません。海上のイージス艦から発射される迎撃ミサイルたるSM-3と、地上発射型の迎撃ミサイルPAC-3の二段構えです。超音速で飛来する弾道ミサイルに迎撃ミサイルを命中させる、そんな事が本当に可能なのかと思われる向きもあるでしょうが、実戦を模したテストでは両者とも80%を超える確率で迎撃に成功しています。

迎撃準備が間に合うのかどうか、どの程度の規模の攻撃なのか、色々と不確定要素はありますが、ここでは単純計算で考えましょう。
仮に50発のミサイルが飛来したとき、SM-3によって40発が迎撃破壊され、残りの10発のうち8発はPAC-3で迎撃出来る事になります。残念ながら2発は防ぎきれないわけですが、発展途上の防衛兵器としてはかなり優秀であると言えるでしょう。また、PAC-3に関してはイスラエルが配備を検討しています。周囲が敵だらけで絶えず国民が絶滅する危機に晒されている国が採用するという事は、それが有効な手段である事の何よりの証明となるでしょう。
そして問題となるのは、迎撃可能なミサイルの数です。SM-3に関していうと、現在は4隻のイージス艦への配備を完了しており、残る2隻も改修が予定されています。搭載数は一隻当たり8発とされていますから、8x6=48発となり、それ以上の物量には対応できません。
発射プラットフォームとなるイージス艦は一隻当たり約1500億円、SM-3迎撃ミサイルは一発約20億円であり、現行の防衛予算ではそう簡単に大量配備できるものではありません。対策としては、攻撃は最大の防御となり、発射前に敵基地を叩く為の武装が必要となります。当座はアメリカからトマホーク巡航ミサイルを購入するなどしてしのぎ、いずれは国産のステルス超音速巡航ミサイルを配備すべきでしょう。

前述のように、優秀なMDをもってしても、全ての弾道ミサイルを防御することは不可能です。核弾頭が搭載されたミサイルを撃ち漏らせば、日本は再び被爆国となってしまいます。
かつての大東亜戦争において日本に2発の核が落とされて以来、世界では数々の局地戦を含む戦争が勃発してきました。ところが、日本の事例以外に核が使われた事は一度もありません。核保有国と非核保有国の戦いもありましたし、核保有国同士の戦いもありました。しかし、核を使うぞと脅しこそあれど、実際に使われた事は無かったのです。これはその破壊力の凄まじさから、核が実質上は使えない兵器である事を示しています。
ですが、「使いにくい兵器」ではあっても「絶対に使えない兵器」ではありません。それは、巨費を投じてアメリカがMD(ミサイル防衛)を開発している事からも明らかです。攻撃される可能性がゼロではないからこそ、それに備えているわけです。つまり、国際社会からの非難を承知であれば、使用される可能性はあり得ます。

戦後の日本は焼け野が原の何もない状態から復興し、急速な経済発展を遂げて先進国となりました。これが優秀で勤勉な国民性とたゆまぬ努力の結果であることは勿論ですが、日米安保のおかげでもあります。アメリカの核の傘へと入り、本来ならば必要な国防費を低く抑え、米軍に守ってもらう事で経済に専念する事が出来たのです。ですが今やアメリカは軍事費の削減に取り組んでおり、時代は変わりつつあります。

では、もし日本が核による攻撃を受けたとき、アメリカは安保を発動して報復攻撃をしてくれるのでしょうか。もしそれがアメリカの「国益」に利すると判断されれば、報復攻撃は実施されるでしょう。
しかしこれには「相互確証破壊」という概念が影響します。核攻撃を受けた側が報復攻撃をし、最終的には双方が死滅する、という状態を示します。例えば中国とアメリカは今現在は相互確証破壊の状態にはありませんが、軍拡を続ける中国は核兵力にも力を入れています。
発射前に燃料の注入が必要な液体ロケットを即時発射可能な固体ロケットに置き換え、固定サイロから発射されるロケットを車両による移動式へと変更し、即応性と生存性を高めています。また、核ミサイルを搭載した原子力潜水艦の増強を進めています。よって近い将来、中国の軍拡によってアメリカとの間には相互確証破壊が成立します。つまり、中国の反撃を避ける為にアメリカは攻撃できなくなり、日本にとってのアメリカの核の傘は消滅する事になります。

では、日本が核攻撃を受けたにも関わらずアメリカが報復攻撃を実施しなかった場合、世界はどうなるでしょうか。同盟国はアメリカから離れていき、他の核の傘を求めるでしょう。それは間違いなくインドになると思われます。しかし、そのインドもまた、中国との間に相互確証破壊が成立すれば、同盟国への核の傘は効力を失います。
この問題を解決する為には、日本自身が報復力を保有して抑止力を持つこと、すなわち核を保有すること以外に手段はありません。そうでなければ、近隣に北朝鮮と中国がある以上、日本は常に核攻撃の危険に晒され、核の力を利用した外交圧力を受け続ける事になります。
幸い、日本には一定の核技術力があり、原発の燃料としてのプルトニウムがあり、はやぶさを打ち上げたM-V(ミューファイブ)という固体燃料ロケット技術があり、次世代の固体燃料ロケットであるイプシロンも開発中です。現有のプルトニウムはそのままでは核弾頭には使えませんが、これは高速増殖炉たる「もんじゅ」によりプルトニウム239を得ることが可能です。
これはすなわち、日本が正しい判断さえ出来れば、短期間の間に有効な核兵器を作れると言うことです。ただし、報復力による抑止力を得る為には生存性を高めなければなりませんから、国土の狭い日本は不利です。発射プラットフォームとしては、核ミサイル搭載の原子力潜水艦が適切でしょう。

マンガの神様と呼ばれた手塚治虫の代表作の一つに「火の鳥」があります。永遠の命を持つ火の鳥を狂言回しとして、物語は過去と未来に交互に舞台を変えて紡がれます。その時間軸の振れ幅は徐々に小さくなり、最後には現在へと収れんして終わるはずでしたが、作者の死去により未完の大作となりました。今となっては絵柄の古さは否めませんが、ある種の宗教的ですらある作品です。
私は幼い頃、友人の歳の離れた兄の大学生が持っていた火の鳥を読ませてもらいました。当時は随分と難しい話に感じましたが、一連の作品の中で最も未来を描いた第二巻の「未来編」が強く印象に残りました。核戦争で汚染された地表を逃れ、未来人達は地下都市を築き、コンピューターの管理によって生き延びています。ところがコンピューター同士の争いにより最終戦争が勃発し、地球の生命は絶滅します。火の鳥から永遠の命を与えられたマサトは、悠久の時間をひとりぼっちで過ごし、次なる人類が出現するのを見守る、という粗筋です。

ご存じのように、人類は地球上の全てを破壊して余る程の核兵器を保有しています。果たして、火の鳥の話のように、人類は愚かにも全滅する日が来るのでしょうか。たとえその危険があったとしても、前述のように我々は自己防衛の為の報復核を持つ必要からは逃れられず、さもなくば日本という国は侵略により消滅します。
もし、この世に本当の平和が訪れるとすれば、それは常温核融合の発明によってクリーンで無限のエネルギーが得られ、貧困や争いが無くなるときでしょう。私が生きている間には実現しそうにはありませんが、我が国日本が軍事力の拮抗によるタイトなバランスを保ち続け、いつの日か画期的な科学の進歩が訪れることを祈るばかりです。
(2013年2月14日記)
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今回のレポートの中で「戦艦大和」の事にふれられてました。

以下のURLをクリックしていただくと、大変貴重な「戦艦大和 最後の号砲」が聞けるページに飛びますので、ぜひご覧下さい。
http://www1.vecceed.ne.jp/~t-kozuka/chinkon/yamato.htm



黒井様、いつも本当にありがとうございます。次回もよろしくお願い致します。

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『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート2 』 - 2013.02.06 Wed


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※【追記アリ】
2月9日に黒井様から追記が届きました。
コメント欄をご覧下さい。


軍事研究家の黒井執斗様による最新軍事情勢レポートの第2弾です!
今回のタイトルは『 開戦前夜は近し 』です。

タイトルのとおり尖閣における日中軍事衝突は、もはや待った無しの状況です。
我が国の目の前に突き付けられた現実なのに、どこかまだ絵空事のように感じてる人も多いのではないでしょうか?
一体何をすればいいのか解らないという人も多いでしょう。

個人で出来る事には限界がありますし、たいした力にはならないかもしれません。
しかし、一人一人の力はたとえ大きくはなくても、無私の志で行動するその一歩一歩は、国家再生という大河の流れを生み出す水源の1滴となります。
因果律、あらゆる事象はその原因となる事象によって発生します。
それらの事象が複合していくことでやがて大きな動きを生み出し、そしてその動きによって国が変わっていきます。
方向性さえ誤らなければ、いかなる地道な活動でも無駄になることなど何一つないと信じております。


それでは黒井執斗様の最新軍事情勢レポートをご熟読下さい。

※第1弾にまだ目を通しておられない方は、ぜひ併せてご覧下さい。
『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート1  今、試される日本の覚悟~牙を剥く中国と暴走する北朝鮮~』
http://sensapo.blog.fc2.com/blog-entry-4.html


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開戦前夜は近し
(軍事研究家 / 黒井執斗)

2013年(平成25年)2月5日午後、去る1月30日に海上自衛隊護衛艦「ゆうだち」が中国人民解放軍海軍フリゲート艦(小型の軍艦)から射撃管制用レーダーの照射を受けた事案が報道されました。
更には遡って同月19日、護衛艦「おおなみ」艦載の汎用ヘリ・シーホーク(SH60)も同様のレーダー照射を受けていたことも報じられ、夜には小野寺防衛相の緊急記者会見が行われ、NHKの9時のニュースでも大きく取り上げられました。

しかしながらお通夜のような雰囲気の中、その内容は「対話と交流」と「冷静な対応」を、との内容に終始していました。更には軍事における情報源と知見をお持ちのはずの方までもが、「射撃管制用レーダーの照射は演習においてはごく当たり前のこと」との見解を示されました。確かに軍事演習においては撃墜・撃沈判定をレーダー照射にて行いますが、これは決して演習ではなく、平時の公海上で行われた決定的な敵対行為です。

あえて申し上げますと、この中国海軍の行動は「戦闘行為」であり「武力行使」であり、既に「宣戦布告」であると言えます。
昨年来、中国公船が尖閣領海を執拗に侵犯する中で航空機による領空侵犯が始まりましたが、その時私は「中国は越えてはいけない一線を越えてしまった」と書きました。ですが今回の事案は「一線」がどうのこうのではなく、「挑発行為」を遙かに超えた「軍事行動」に他なりません。

射撃管制用レーダーは二回、数分にわたって照射されたとの事ですが、これは照準を合わせた、いわゆるロックオン状態であり、あとは引き金を引くなり発射ボタンを押すなりすればいいだけの、即時攻撃の準備が整った最終状態です。
海自護衛艦と中国フリゲート艦の距離は僅か約3kmであったとの事ですから、対艦ミサイルによる攻撃には距離が近すぎます。となれば、艦首に搭載された主砲たる100mm速射砲での攻撃を想定していたと判断して良いでしょう。

かつて、長きに渡り海軍の花形であり決戦兵器であった「戦艦」は競って巨大な主砲を搭載し、敵の主砲が命中してもダメージを受けない分厚い装甲で守られた強固な船体を特徴としました。しかし今やそれは半世紀以上前に過ぎ去った過去のお話です。遙か水平線の彼方から攻撃できるミサイル全盛の現代においては、飛来するミサイルを迎撃して被弾しない事が防御の全てであり、万一迎撃に失敗して被弾した場合には、まず間違いなく戦闘不能となり、沈没の可能性も高いでしょう。
かつて大日本帝国連合艦隊の旗艦であった世界最大の戦艦大和は、重要部においては400mmもの厚さの装甲を備えていました。しかし、防御力を捨てて機動性を優先する現代の軍艦は、わずか8mm~20mm前後の厚みしかない鋼板を溶接接合して作られています。いわゆる「紙装甲」と呼ばれるものであり、中国艦の速射砲攻撃を受けていれば、護衛艦の150名以上の乗員が生命の危機に晒されていたのは間違いありません。

そして数日前、アメリカの海洋当局がアメリカ船籍の全ての船に対し、尖閣周辺海域では日中双方の船とは距離を取るように注意情報を出した、との報道がありました。
尖閣絡みの日中の小競り合いは昨年より常態化しており、何故今更そんな注意情報が出てくるのか不思議に思っていました。しかし、今回の報道により納得がいきました。日本側はロックオンのレーダー照射を受けた事案をアメリカに報告し、対応協議でもしていたのでしょう。

ここで私が不思議に思うのは、なぜ日中の海軍艦艇が3kmという極めて近い距離にあったのかです。小野寺防衛相の緊急記者会見によれば「東シナ海の公海」においての事案である、との言及にとどまりましたが、これは海自護衛艦の展開状況を秘匿とするならば当然でしょう。
ですが、尖閣において対峙している海上保安庁巡視船と中国公船の存在は当然として、中国海軍が常時2隻のフリゲート艦を尖閣北西200km付近に置いていることは知られていますし、海自は護衛艦1隻を尖閣近海に置き、更に3隻の中国艦隊監視用部隊を配備しているとされています。もしこの配置が正しい情報であれば3kmという極めて近い距離で接触するはずはないのです。

となると、1月30日に報道された、西太平洋での軍事演習を行う為に宮古海峡を通過した中国艦船を護衛艦が監視追尾した結果だとも考えられますが、防衛省幹部ソースとされる「尖閣諸島周辺の公海上だった」との報道ともズレが出てきます。
いずれにせよ、尖閣海域においては海自の潜水艦や米第七艦隊の潜水艦も潜んでいるはずですし、もはや何時何が起こっても不思議ではありません。

中国の意図は明らかであり、まず日本に撃たせた上で国連の敵国条項を適応し、安保理決議無しに軍事行動に出る事を狙っているのでしょう。これは航空自衛隊に続き、海上自衛隊までもが引きずり出されたと言うことです。
これに微力ながら抵抗するとすれば、中国の傍若無人な行動を世界に広く知らしめる必要があります。BBCのWebサイトではトップで扱われていましたが、CNNでは探すのも面倒な程の隅っこの記事でした。日本はもっと積極的に働きかけ、この重大事案を少しでも多くの海外の人々に知ってもらうべきです。

大切なことですからはっきりと書きますが、戦争と戦争の合間にある束の間の平和、大東亜戦争の敗戦以降に異常なまでに長続きした、我々の愛するかりそめの平和は残念ながらもう終わりを告げようとしています。
これも大切なことですから繰り返し書きますが、平時の公海上において射撃管制用のレーダーを外国艦船に照射するという行為は、発砲したのと全く同じ意味です。言うなれば、公道を歩いている貴方に無法者が突然に拳銃の砲身を向けてトリガーに指をかけているのと同じです。
よって当たり前ですが、仮に射撃管制レーダーを照射されたなら、その相手をミサイルや艦砲で撃沈するのは当然のことであり、国際法上において合法な当たり前の事です。

さらに言えば、射撃管制レーダーを照射する中国海軍はまさしく狂っていますが、そんな行為を受けても反撃しない(出来ない)日本の自衛隊はもっと狂っているとも言えます。
かつて西太平洋の覇者であった大日本帝国連合艦隊の血を受け継ぐ優秀な海軍を、ロックオンの警報が鳴り響く中、半ば無意味な回避運動しかできないまでに縛り付けているもの。それが憲法第九条なのです。はっきり言って、異常な事態です。
憲法改正は参院選の後にならざるを得ないでしょうが、政府は一刻も早く閣議決定において、現場司令官の裁量によって状況判断し、対処できるようにすべきです。数百億円の近代艦や、何よりも、多くの優秀な自衛官の命が失われてからでは遅すぎるのです。
我が愛する日本の行く先に幸あれと願うばかりです。
(2013年2月6日記)
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『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート1 』 - 2013.01.22 Tue


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このたび深田 匠先生(作家・国際政治学者)のお取り計らいで、軍事研究家の黒井執斗様に最新軍事情勢レポートを書き下ろしていただくこととなりました!
さらには当会「戦後レジーム脱却サポーターズ」のために今後も定期的に御執筆いただけるとの事です!
本当に心からありがたく思います。

タイトルは『今、試される日本の覚悟~牙を剥く中国と暴走する北朝鮮~』です。
冒頭には深田先生からの推薦文もあります。出し惜しみ無しで一挙に公開させていただきます。
私も拝読しましたが、ここまで日本は緊迫した状況にあるとは正直驚きです。ある程度はわかってるつもりでおりましたが…。

ぜひ皆様にもご熟読の上で日本の置かれている現状をご認識いただき「限られた時間の中で一体自分に何ができるのか?」を考えるきっかけにしていただきたいと思います。
もちろん私自身も考えてまいります。一緒に知恵を出し合いましょう。そして共に行動しましょう!
近日中に会員募集を開始させていただきます。
何卒、一人でも多くの方にご協力下さいますようよろしくお願い申し上げます。

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軍事アナリスト黒井氏の軍事情勢分析論を推薦します
(作家・国際政治学者 深田 匠)


私の旧知の人物に民間の軍事研究家の方がおられる。その方は本業は技術者なのだが、長年に渡って軍事研究を行っておられ、プロの軍事評論家も顔負けの鋭い軍事情勢分析をされる方である。私に対しても定期的に最新の軍事情勢分析レポートを情報提供してくださっている。
私が国際戦略というマクロ視点で中国を捉えることが多いのに対して、その方は技術者ゆえの緻密なミクロ視点で中国や北朝鮮の軍事情勢を分析されている。それゆえ私にとっては異なった角度からの考察を得ることができるので、大いに参考になる有為な情報源となっている。

日米両国の保守主義勢力の連携を目的として私が運営している「日米保守戦略協議会」を情報交流窓口にして、私のところには米国共和党筋のストロングジャパン派(対中戦略のためには強い日本が必要だと考える米保守系政治勢力)から定期的にさまざまな情報のメールが届く。米国における中韓の反日ロビー活動や反日プロパガンダ工作の動き、米国政界の色々な対日関連の情報、そして共和党系シンクタンクなどが分析した中朝の対日軍事情勢レポートなども届く。
驚くべきことに米国のシンクタンクから届く軍事情勢の分析は、上述の軍事研究家の方から届く分析内容ともほぼ一致していることである。もちろんその軍事研究家の方は日本人であり国内に居住されている。すなわちその方の情報の読み取り方が、長年の軍事研究の蓄積に裏打ちされ極めて正確に行われていることの証左であろう。

そしてこれは何よりも重要なことであるが、その方は「大東亜戦争は正当な自衛戦争であり、敗戦国であるが故に侵略戦争のレッテル張りをされているが、日本は敗戦しても尚その戦いはアジアの植民地解放に繋がった」という正しい歴史観を持っておられる。自虐史観に由来する妄想平和主義的な情緒を排除して、冷静に軍事を分析されるからこそ、その情報は信頼できるのである。自虐史観ゆえに「何があっても戦争はいけない」といった反戦思想のバイアスがかかった分析では、軍事的なオプションは制限されていき現実的な情勢の変化に対応できなくなる。

その方は上述のように本業は技術者であるため、これまでは著書を執筆されたり論文を公表されたりすることはなかった。しかしその有為な情報を、私一人に情報提供していただくにとどめるには惜しいと考えた。そこでぜひとも一人でも多くの国民の目に触れるよう、インターネットで定期的に最新軍事情勢のレポートを公開されていくことを同氏にお勧めした。
私の提案を同氏はご快諾くださり、「黒井執斗」なるペンネームでこの「戦後レジーム脱却サポーターズ」ブログを発表の場として、定期的に最新軍事情勢の分析レポートを執筆していただける運びとなった。

黒井執斗氏は今回のレポートの中で、『判断に間違いがなければ、原爆投下と敗戦から68年目にして遂に、日本の「戦後」は終わりを告げるでしょう。たとえそれが局地的な、小さな戦闘であったとしても、我々は決して負ける訳にはいきません。たとえ尊い血が流されようとも、絶対に負ける訳には行きません。日本が長かった「戦後」に終わりを告げる為の決断を迫られるとき、それは確実に近づいています。』と述べておられる。私も同感である。
「戦後」が終わる、すなわち日本が「戦中」に突入せざるを得なくなるときが迫っているのだ。尖閣における日中軍事衝突は必ず起こる。これはもう日本の外交努力では避けられない現実である。戦争規模の大小に拘らず我々日本人は「戦争」を経験することになる。それまでに「戦後体制」からの脱却が成し遂げられていなければ、日本は極めて不利な情勢に置かれてしまうだろう。

黒井氏は「もし仮に日本が中国に屈する日が来るとすれば、それは台湾及び東南アジア諸国までもが中国の支配下に置かれるのと同義となるでしょう。」とも指摘されている。これについては拙稿「第二次安倍政権待望論・番外編 2012総選挙論・日本興亡の分岐に立ちて」の第四部をご参照いただきたい。
国際政治学の観点から見ても、軍事学の観点から見ても、結論は一致したのである。尖閣防衛戦において日本が中国に屈することは、中国が世界覇権を握る悪夢の未来を確実に到来させる。

私は拙著『二つのアメリカの世界戦略』の国連に関する章で、中国が国連憲章の敵国条項を大義名分にして「尖閣問題は日本による中国領土侵略」と強弁し安保理決議なしに対日攻撃を行う可能性に言及した。現在、中国は国連や米国におけるロビー工作でまさにその通りの主張を行っている。これは安保理決議なしで日本を攻撃するための布石である。
私は同著における近未来予測で「日本が戦争を選ばずとも、戦争が日本を選ぶことになる」とも述べた。残念なことにその予想は的中したのである。妄想平和憲法も謝罪外交も膨大な対中援助も、戦争防止には何の役にも立たなかったのである。
「そのとき」は近づいている。明日か、来月か、来年か、数年後かはわからない。だが必ず「そのとき」は訪れる。日本国民は今からその覚悟を固めておく必要がある。

「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」という。まずは警醒の軍事アナリスト黒井氏の最新軍事情勢レポートをご熟読いただきたい。


『今、試される日本の覚悟~牙を剥く中国と暴走する北朝鮮~』
(軍事研究家 / 黒井執斗)


まず初めに、「戦後レジーム脱却サポーターズ」の発足をお祝い申し上げます。
そして次に早速ではありますが、わたくし黒井の根幹的な軍事に対する考えについて少しだけ。私自身の過去の経験を含めましても、軍事絡みの話題を取り扱うと、必ずといっていい程「右翼」であるとか、「反平和」であるとのご批判やレッテル張りを受けます。左翼団体や、九条教の人々からすれば意見に相違がある訳ですから、声高に叫ばれるのも致し方ないのかも知れません。しかし、それは大いなる勘違いであります。
黒井は恐らく、一般の方よりもほんの少しだけ軍事を知っておりますが、何よりも平和を愛しますし、戦争など望んではいませんし、同じ日本国民の血が流される事など望むはずもありません。
軍備、そして軍事力というものは本来、仮想敵国の侵攻意志を挫き、大切な平和を守る為に必要なものです。その「軍事的抑止力」によって戦争の勃発を防ぎ、大切な平和を守る。しかしその努力にも関わらず、不本意ながら他国との戦争状態に至れば、全力で国土や国民を守る、守れる態勢を作っておく。それがたとえ自衛隊という専守防衛に特化した歪な形であったとしても、変わらず軍備・軍隊の使命であり、唯一根幹たるものです。
この基本理念だけは、是非ともご記憶願いたいと思います。

そして本来ならば、軍事などというものはごく少数の専門家や、それを趣味とする人々が知っていればいいだけのものです。多くの国民は軍事における知識など無くても構わない、そんな世界が理想的であり、幸せな世界であると言えます。ですが、残念ながら今日の日本を取り巻く環境はそれを許してはくれません。今この文章を読んでくださっている貴方が、一人一人が、最低限の軍事知識を身に付けた上で行動へと変えて行かなくてはならない、そんな時代です。
多少の専門用語や意味不明な型式記号が出てくるのは仕方ないとあきらめた上で、出来る限りわかりやすい説明を心がけていきたいと思っています。
しばしの間お付き合い頂き、貴方様の判断・行動に必要な知識に僅かでもなれば、それはわたくし黒井の幸せと同義であります。

さて、去る2012年12月13日の午前、中国機が尖閣上空の日本領空を侵犯し、航空自衛隊機がスクランブルするという事態が発生しました。マスコミはさほど大々的には報道しませんでしたが、この事案は様々な問題を突きつけた事になります。
まずは自衛隊のレーダー網が中国機の接近を捕捉できず、尖閣周辺に展開していた海上保安庁巡視船からの通報が第一報であった事。本来なら領空外縁に至るまでの防空識別圏への侵入をもってスクランブルしなければなりませんが、気づいたときには既に領空侵犯にまで至っていた事になります。

世間ではこれをもって自衛隊の不甲斐なさを責める声もあるようですが、私はある意味仕方がないと考えています。侵犯機の画像を見る限り、明らかに旧態然とした小型プロペラ機ですから、低速かつ海面近くの低空を飛行されれば、地球は球体でありますから、地上の固定レーダーからは捕捉しにくくなります。尖閣直近の固定対空レーダーサイトは宮古島であり、かなりの距離がある事から、低空侵入に弱いのは明らかです。
それを補う為、当然ながら空自は早期警戒機のE-2Cホークアイを飛ばしてパトロールしているはずですが、那覇基地のE-2Cは三沢基地から応援に来ている機体であり、那覇基地や南西方面航空混成団の常設部隊ではありません。日本の保有するE-2Cは計13機ですが、日本全土をカバーしなければならない為、自ずと那覇基地に回せる機体数は限られる事になり、恐らくは3機前後ではないかと思われます。
ローテーション、即ち機体整備や搭乗員の休養も必要ですから、E-2Cの滞空時間の短さも相まって、現体制では尖閣上空の24時間監視は不可能であり、逆の見方をすれば、それらを知られた上で隙を突かれた事になります。

次に、スクランブルした空自のF-15JとE-2Cについてです。
F-15Jは計8機がスクランブルしており、海保からの連絡を受けた空自がそれを重大な事態だと受け取った事を示しています。予備機を含む飛行隊定数24機の1/3を一気に投入した事になり、ローテーションを考えると、即時態勢にあったほぼ全機を発進させたと思われるからです。
中国は先般より尖閣への領海侵犯を執拗に繰り返していますが、航空機による領空侵犯の重大性は領海侵犯とは比べものにならないものです。足の速い航空機ならば、僅か後には本土すら攻撃可能になるわけで、これは屈辱的な事態であり、度を超した挑発行為と言っても差し支えない。後方を飛ぶE-2C早期警戒機のレーダー探知情報をデータリンクで受け取りつつ、F-15J編隊は侵犯機を目指した事になりますが、残念ながら遭遇する事は出来ませんでした。

しかしながら、もし間に合っていたとしても、自衛隊機は警告しか出来ません。それは言うまでもなく、憲法第九条二項で交戦権が否定されている為です。
必要な憲法改正を行い、交戦規定を明確にし、国際条約に則って対処できる、独立国家として当たり前の正常な状態に戻さなければ、領空侵犯され放題が続く事になります。いかに多数の自衛隊機がスクランブルしてこようとも、撃ってこない事がわかっているのですから、中国からすれば怖くも何ともないでしょう。

それにしても、この尖閣領空侵犯において、中国は越えてはいけない一線を越えてしまったと言えます。
領海侵犯に関しては海上保安庁という警察権力が対応に当たる事になりますから、それが一種のクッションの役割を果たします。しかし、領空侵犯となると航空自衛隊が対処せざるを得ない事は明らかであり、自衛隊という名の事実上の軍隊が出て行かざるを得ない。それがわかった上で、あえて行動を起こしたのは、中国が決して尖閣を諦めないという決意を示しているに他ならない。
領空侵犯は中国の国家海洋局所属機によって行われたわけですが、これが一党独裁政権たる共産党及び配下にある軍部の指示で行われた行為だと考えるべきなのは当然の事です。勿論、中国の野望は尖閣だけに終わるはずはなく、沖縄をも虎視眈々と狙ってくるでしょう。

海底資源が狙いの一つであるのは勿論ですが、中国が目指す東アジア及び西太平洋の覇者となる為には、国力からしても地政学的に見ても、日本は邪魔者でしかない。これらの事を勘案すれば、近い将来、対中軍事衝突は不可避だと覚悟すべきでしょう。
ただし、いざ有事の際にどれほどの実効性を伴うかについては疑問もありますが、日本には日米安保条約がありますから、核の使用を含む全面戦争には至らないでしょう。
あくまで局地戦、すなわち尖閣周辺での空戦と海戦であり、長引くことなく数日から数週間程度で終結する可能性が高い。ただし、結果がどうなるかは予測不能な面も多く、残された短い時間の中で態勢を整える必要があります。

中国は福建の空軍基地に相当数の戦闘機を集結しているとの情報がありますから、日本もそれに応じて、那覇基地に戦闘機や早期警戒機を重点配備する必要がある。
しかしながら、那覇基地(那覇空港)は民間・空自・海自・陸自の各航空機がひしめき合っている状態であり、大幅な戦力増強を受け入れる余地が残っていない。これは現状の那覇だけでは中国側航空戦力を受け止める事が出来ないと言う事であり、那覇基地を増強するか、若しくは他の基地を新たに設けるしかありません。
前者は用地確保の問題や、中共の扇動下にある団体が反対運動を展開するのは容易に想像できますし、何より時間がない。となれば選択肢は後者しかない事になりますが、その第一候補としては、沖縄と中国大陸の中間点にある下地島が挙げられるでしょう。
現在の下地島空港は民間パイロット育成に利用されているに過ぎませんが、3000m級の滑走路を備えており、輸送機や戦闘機の離発着も十分に可能です。軍事利用はしないという平時の決め事があるとは言え、これを利用しない手はなく、海自の護衛艦群が寄港できる港湾整備と合わせ、尖閣防衛と対中軍事戦略の拠点として活用すべきです。

更には、次期FXに決定したF-35の完成が遅れている以上、予算の都合で滞っているF-15Jの近代化改修を速やかに進める必要がありますし、戦闘機の後方支援として非常に重要な早期警戒機E-2Cの増強、あるいは新型のE-2Dの追加導入という選択肢も視野に入るかと思われます。
そして、空の司令塔とも言うべき早期警戒管制機(AWACS)については、日本はE-767を4機保有していますが、ローテーションを考えると常時24時間態勢での運用は確実とは言い切れない。増強するにしてもE-767は非常に高価ですから、それを補完する意味で、廉価なE-737を追加導入するのも有効だと考えます。

と、ここまで書いておきながら、わたくし黒井は大きな判断ミスをしました。
当面は、中国の国家海洋局所属プロペラ機による侵犯未遂が延々と続けられるであろうと想定していました。何故なら、中国側の旧式プロペラ機の侵入を食い止めたくとも、短期間のうちに地上レーダーサイトを増強することは出来ません。これは即ち、空の司令塔とも言うべき早期警戒管制機(AWACS)を24時間態勢で運用して急場をしのぐしかありません。
冷戦を含む戦争とは国家と国家の消耗戦であり、国力に勝る方が最終的な勝利を得ます。日本はAWACSという非常に高価な4機体を24時間態勢で飛ばし、日々2000万円とも言われる運用費用を負担しなければならない。たとえ、相手が旧式な小型プロペラ機であっても、更に、そこにスクランブルがあるとすれば、少なく見積もっても300万円/機、の航空燃料を消費するのです。仮に8機がスクランブルすれば、少なくとも2400万円の燃料が消費される。
中国からすれば費用対効果は抜群であり、まさしく消耗戦であり、日本を疲弊させたい中国にとっては願ったり叶ったりでしょう。

それだけに、まさか、中国側戦闘機が挑発に出てくるとは考えていませんでした。
2013年1月10日、十数機の中国軍戦闘機が日本の防空識別圏に侵入してきました。恐らくはアメリカF-16のコピーであるJ-10やロシアSu-27のコピーであるJ-11の混成部隊であったようですが、何とスクランブルした日本のF-15Jは二十機との報道もありました。
これが事実だとすれば、那覇基地にある迎撃即応機がほぼ全機対応に当たった事になり、軍事を注視する者としては信じがたい事です。

今ここに、この文章を読んでくださっている読者の皆様。
もし、わたくし黒井の判断に間違いがなければ、原爆投下と敗戦から68年目にして遂に、日本の「戦後」は終わりを告げるでしょう。
たとえそれが局地的な、小さな戦闘であったとしても、我々は決して負ける訳にはいきません。たとえ尊い血が流されようとも、絶対に負ける訳には行きません。
日本が長かった「戦後」に終わりを告げる為の決断を迫られるとき、それは確実に近づいています。

さて、そんな刻一刻と深刻さを増す尖閣情勢において、同盟国たるアメリカが手を打たないはずはありません。
2013年1月14日、最強のステルス戦闘機F-22ラプターが嘉手納に着きました。過去にも期間限定で飛来してはいましたし、今回も約4ヶ月間の暫定配備ではありますが、なんと言っても今回は12機ですから、4機1個小隊、3個小隊12機なので、制空、交代、待機でローテーションを組める機数です。そこへ対艦ミサイル4発を積める空自F-2戦闘攻撃機が加われば、中国軍は出鼻を挫かれて(まともであれば)どうすることも出来ないでしょう。

しかしそんな中、またしても重要な事態が発生しました。米海軍の対潜哨戒機(対潜水艦任務に就く航空機)であるP3Cと米空軍のC130輸送機が、中国軍機の執拗な追尾を受けたのです。これは、2001年の海南島事件を彷彿とさせます。電子偵察機EP-3Eが中国軍戦闘機と接触して海南島への不時着を余儀なくされた案件ですが、軍事機密である電子機器は全て爆破破壊され、中国の手には渡らなかった。まさに一触即発で同様の事が起こりかねません。
そして在日米軍は、東シナ海上空に空中警戒管制機(AWACS)を投入しました。スクランブル合戦に勝利する為の、空の司令塔AWACSの日米同時導入。まず間違いなく、日米間でのデータリンクも行われているでしょう。
今、我々が知らない間にも電子戦たる戦いは繰り広げられており、それは刻一刻と状況を変えながら、大きな流れに繋がっていくのでしょう。

さて、ここまでは制空権(制空優位)に関わることを述べてきましたが、次は制海権のお話です。
海軍力に関しては、少なくとも現時点では日本が優位にあり、空自においては事実上の対艦攻撃に特化した世界最高レベルのF-2戦闘攻撃機も運用していますし、空軍力に比べれば今すぐ心配する必要性は低いでしょう。ただし、中国は海洋覇権国家となるべく急ピッチで海軍力強化を続けており、座視しているのは危険です。
中国は2020年を目標に4隻の新造正規空母を保有するとしていますが、現代における空母とは本来、本国から離れた飛び地や同盟国の防衛に必要な軍備であり、その必要のない中国が空母に固執するのはアメリカに対抗しうる力を持ちたい悲願であると同時、砲艦外交たる周辺国への恫喝と侵略戦争を念頭に置いているのは明らかです。

これに対抗すべく日本も正規空母を保有すべきとの意見も散見されますが、私はそれは賢明な選択ではないと考えます。正規空母は多くの艦載機や多数の乗員を必要とする、とんでもない金食い虫であり、中国が無謀とも思える一挙に4隻の保有を目指しているのは、メンテナンスや乗員の休養を含めたローテーションを考慮した場合、常に戦力として投入出来る空母を確保する為の最低数だからです。決して他国を侵略する意図のない日本が無理をして正規空母というコストの高い軍備を持つ必要性はありませんし、景気低迷で苦しい財政事情を鑑みれば、もっと有効なお金の使い方をすべきでしょう。
具体的には、費用対効果に優れた潜水艦戦力の増強であり、対潜哨戒能力を更に向上させる為のヘリ空母の増強であると考えます。米軍の対潜哨戒能力を持ってしても探知が難しい程の静粛性を誇る日本の通常動力型潜水艦と、世界随一とされる対潜哨戒能力を展開すれば、空母を含む艦船と随伴の潜水艦は外洋に出るのが困難となり、自ずとシーレーン防衛にも大いに寄与する結果となるでしょう。

ここで少し横道にそれますが、イージス艦について触れておきます。
日本はイージス艦を6隻保有していますが、偏ったマスコミ報道等の影響もあり、一般の方々はイージス艦を無敵の船だと勘違いされているケースが少なからずあります。
米ソ冷戦時、海軍力の圧倒的差を埋める為、ソ連が考案したのが大量のミサイルを同時に撃ち込む飽和攻撃です。これを食らっては虎の子の空母がひとたまりもありませんから、それに対抗すべく生み出されたのが、対空防御及び攻撃に特化したイージス艦です。つまり、高価なイージス艦は確かに優れた対空性能を持っていますが、それは本来、空母機動艦隊の上空を守る為のものです。

優秀な対潜ソナーは備えますが、潜水艦に対する探知能力は通常の軍艦と何ら変わりありません。空母の有無にかかわらず、艦隊が作戦行動を行う際には、対潜哨戒機を周囲に展開し、潜んでいる潜水艦に注意しながら航行する事になります。もしそこに探知しきれない潜水艦が潜んでいた場合には、不意打ちの魚雷攻撃を受ける事になってしまいます。第二次大戦当時とは違い、現代の魚雷は一撃で艦船を真っ二つにしてしまう程の威力があります。
よって、1億円前後の魚雷一発により、1500億円もするイージス艦が撃沈されてしまう可能性も大いにあるわけです。巨大な正規空母であっても、数発食らえば沈没を免れないでしょう。つまり、静粛性に優れた潜水艦はまさに見えない脅威であり、抑止力を含めて費用対効果の極めて高い軍備であり、これを重視せざるを得ない事になります。

このように空海合わせて総じて見れば、GDP比1%という防衛予算枠を取り払い、国を守る為に必要な費用として相当額を拠出しなければならないと言えます。
それが出来なければ、中国という覇権国家への野望を持った隣国がある以上、独立国家としての日本の未来は無いという事です。もし仮に日本が中国に屈する日が来るとすれば、それは台湾及び東南アジア諸国までもが中国の支配下に置かれるのと同義となるでしょう。

さて話題は変わりますが、去る2012年12月12日に北朝鮮が打ち上げたロケット(実質はミサイル)が成功を収め、地球周回衛星軌道に何らかの物体が投じられた事はアメリカの発表からしても明らかです。
南に向かって打ち上げられたのですから、物体は赤道と直交する極軌道を回っている事になり、これは軍事偵察衛星の軌道に近似するものとなります。すなわち、仮に今回の物体が人工衛星とは言えない程度のものであったとしても、北朝鮮は軍事偵察衛星を軌道に投入出来る技術の獲得に限りなく近づいたと判断すべきです。
前回の打ち上げは空中分解の大失敗に終わっていたわけですから、短期間の間に北朝鮮技術者達は相当な苦労をして問題を修正してきた事になり、想定以上の結果ととらえるべきでしょう。何しろ、信頼性の低い旧式な試作大陸間弾道ミサイルを使い、秋葉原で買いあさった電子機器を組み合わせつつ、自称するところの衛星打ち上げに無事成功したのですから。

日本からのパチンコマネーの流入や、韓国の親北派からの支援があるとは言え、北朝鮮の経済規模は島根県程度でしかありません。言うなれば極東の小さな三流国家であり、逆に見れば、そうであるが故にミサイル技術は命綱であり、国民が飢えていても止めるわけにはいかない。核と合わせて恫喝外交に必須な要素ですし、中東の反米国家へのミサイル輸出や技術の売却は、国際的な経済制裁下においては殆ど唯一の外貨獲得手段でもあります。
38度線を挟んで対峙し、今なお休戦状態にある韓国ですが、独自ミサイル技術を積み上げてきた北朝鮮に対し、韓国は完全に後れを取っています。自力での衛星の打ち上げは難しいと判断し、ロケットの一段目はロシアから購入したブラックボックス、そして衛星自体もフランス製。しかし確実性と時間を金で買ったはずが、二度にわたって打ち上げは失敗し、三度目もトラブルで打ち上げ延期が続いています。
明暗を分けるとはこういう事なのでしょう。

昨年12月の北朝鮮による打ち上げにおいては、何らかのトラブルが発生してミサイルを分解している、という情報が流れ、年内の打ち上げは無理ではないかとも報道されていました。これは韓国発とされる情報がマスコミによって広く伝えられた結果ですが、その韓国は独自の軍事偵察衛星は運用していません。
去る5月に日本のH-2Aで打ち上げたフランス製の商用観測衛星はありますが、赤外線カメラを搭載していない商用衛星では夜間の観測は出来ませんし、日中であっても曇がかかるだけで観測不能となります。要するに、軍事用として重要な分解能の問題を含め、独自には極めて限定的な観測手段しか持たないという事です。
そして、北朝鮮が撹乱を狙った工作をする可能性は高く、トラブルで分解中との判断に至るには、別の確たる情報があったと考えるのが妥当です。これはつまり、米軍の偵察衛星によってもたらされた情報を分析した結果以外にあり得ない事になります。

同じく偵察衛星を持たず、米軍との連携も更に弱いであろうフィリピンは、韓国経由の情報を信じ、ミサイルの二段目落下予測地点にあたる海域と空域に発していた進入禁止令を解除してしまいました。その翌日、突然の発射情報に驚き、慌てて禁止エリアを再設定しましたが、既に時遅しで意味はありませんでした。
これに対し、日本はアメリカから「継続して要注意」との情報を受け取っており、分解能では米軍に及ばないでしょうが、情報収集衛星と言う名の、事実上の軍事偵察衛星も独自に運用している。勿論、これはH-2Aという独自開発の打ち上げロケットがあるからこそ保有可能なものです。
それらを総合して警戒態勢を維持していたと考えられますが、何故アメリカは韓国には告げず、日本には要注意だと伝えたのか。これは恐らく、アメリカが日本を試したのだと思われます。韓国はアメリカから購入した戦闘機のブラックボックスを分解して解析しようとしたり、戦闘機そのものを丸々コピーして、韓国オリジナルの戦闘機だと称して他国に売ろうと画策したり、数々の出来事でアメリカの信用を失っています。
また、裏で北朝鮮に通じている勢力が存在するとされ、様々な情報が北へリークされているとも指摘されています。果たして、日本にだけ伝えた情報がどれ位外部へ漏れるのか。恐らくは、それがアメリカの試したかった事なのでしょう。

さて、大陸間弾道弾の元祖と言えるのは、間違いなくナチスドイツが開発したV2号でしょう。巡航ミサイルの元祖とされるV1号と合わせ、ナチスドイツの科学力はまぎれもなく世界一でした。
核兵器の開発こそ、ユダヤ人排斥によって流出した頭脳や資金力の差もあってアメリカに先を越されましたが、有名なUボート潜水艦、性能の高い戦車を伴った機械化歩兵部隊、化学兵器としての神経ガスサリン、首都防衛に活用された世界初のジェット戦闘機と、突出して優れた兵器は数多い。ドイツ敗戦と同時、連合国側はそれらの技術資料や技術者の争奪戦を繰り広げ、その多くはアメリカと旧ソ連が手に入れる事となります。

資本主義対共産主義の冷戦構造下、宇宙開発競争が繰り広げられ、自ずと兵器としてのミサイル技術も発達、熟成する。旧ソ連が量産したスカッドと呼ばれる短距離弾道弾は同盟国に拡散し、北朝鮮は1970年代にエジプトを介してスカッドBを入手し、分析し、コピーを始める。たった300kmであった射程距離は決して諦めない独自改良によって段階的に伸び、ノドン、テポドン1号、テポドン2号、そして今回に至っては衛星軌道にまで達した。これは即ち、成層圏からの再突入を考慮すれば1万km級の射程を持つ事になり、アメリカ本土の一部が脅威にさらされる可能性が出てきます。(ちなみに、日本は既にノドンによって射程に入り、総計300基以上とも想定されるミサイルが狙っていますから、今更情勢に大きな変化はありません。)

ここで重要なのは、遠からずして更に信頼性を高めた後には、中東の反米国家にもそれが売却されるという事です。
そうなればもはや、ミサイル攻撃の脅威に晒されるのはイスラエルだけではなく、アメリカ本土もターゲットとなり得る。重要な技術を手にした北朝鮮が更なる強硬路線に出るのは明らかで、アメリカの取り得る選択肢は二つしかない事になります。
一つは北朝鮮との戦争、もう一つは北朝鮮の核保有を認める事です。
世界最強の軍事大国たるアメリカが戦って負けるはずはありませんが、朝鮮半島は未だにある種の緩衝地帯であり、戦争終結後の統治で大いに揉める事は避けられない。ロシア、中国が黙っていないでしょうし、韓国には北を統一併合するのに必要十分な体力はない。
となると後者を選択する可能性が高くなりますが、それは国際的な核拡散防止の枠組みの崩壊を意味します。

島根県程度の経済規模でしかない小国たる北朝鮮が核保有を認められれば、脅威にさらされる周辺国は勿論、多くの国が抑止力としての核を持つ事になるでしょう。当然ながら、原発に伴う大量のプルトニウムを所有し、それなりに高度な核関連技術も持ち合わせている事から準核保有国と見なされている日本も巻き込まれざるを得ない。
好むと好まざるに関わらず、世界を取り巻く核軍事情勢は、先日の一発のミサイル発射を契機にして大きく動き出す事になるでしょう。

ミサイル発射翌日の12月13日、アメリカが日本のイージス艦2隻分の海上配置型迎撃ミサイルSM3の売却方針を決めた事が報道されました。何とも絶妙すぎるタイミングですが、この近代化改修が終われば、日本の保有する6隻全てのイージス艦が弾道ミサイルの迎撃能力を保有する事になります。
現行モデルはSM-3ブロック1Aと言われるタイプですが、日本はSM-3ブロック2Aの共同開発を進めています。更にその先にあるSM-3ブロック2Bがどうなるかは未定ですが、限定的ながら上昇過程における弾道弾の迎撃能力を持つことになり、いずれにしても重要なのは、MD(ミサイル防衛)に関し、日本がどこまで米国に関わるかです。

お手元に地球儀があれば是非手にとって、眺めて頂きたい。
大陸間弾道ミサイルは最も無駄のないコースを辿り、目標を破壊します。自ずと、アメリカ本土を狙った場合には日本の上空を通過しないことがわかるでしょう。しかしながら、太平洋における米軍の重要な基地であるグアムやハワイを狙うとなると、その弾道は日本の上空を通過することになります。
つまりは、集団的自衛権の行使を認める事を含め、日本が試されるときが来ているのです。
(2013年1月21日記)

黒井様、深田先生、本当にありがとうございました!

そして最後までご覧下さった読者の皆様、誠にありがとうございました!




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『 深田 匠先生からお祝いのお言葉を頂戴しました 』 - 2013.01.20 Sun


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タイトルのとおり、作家・国際政治学者の深田 匠先生からご丁寧なお祝いのお言葉を頂戴しました。
「お祝いのお言葉」と書いてますが、拙ブログの記事にできるように読者様に向けて御執筆下さってます。

ありがたくここに全文掲載させていただきます。

************************************

新団体「戦後レジーム脱却サポーターズ」発足に寄せて
(作家・政治学者 / 深田 匠)

「戦後レジーム脱却サポーターズ」の発足をお祝い申し上げます。
「愛国議員サポートネットワーク」の解散に伴い、同団体の代表であった三神氏が新しく後継団体を発足されたとの由。その記念すべき門出を心から祝福いたし、新団体「戦後レジーム脱却サポーターズ」の今後の活躍に大いに期待するものであります。

「愛国議員サポートネットワーク」の急の解散決定については、支援者や会員登録されていた方々からすれば唐突な感があるだろうと思います。率直なところ私自身も驚きを禁じえませんでした。「愛国議員サポートネットワーク」の活動主旨が議員のサポートのみに限定されていたことから、活動の幅をさらに広げていくための発展的解消という目的があったにしろ、解散・新団体発足という形ではなく団体名の改称という方法もあったのではないかと思われる方も多いことでしょう。

三神代表は差別主義的要素を完全に排除して、幅広く一般社会から支持される国民運動を目指しておられました。それゆえに私も微力ながらこれまで応援させていただいた次第です。しかし残念なことに、どうやら「愛国議員サポートネットワーク」の役員の中には三神氏のその信念を理解できない人物もいた模様です。
政治的主張を行うにあたっては、そこにはいかなる差別主義的要素も加えてはなりません。政治的主張がいかなる内容のものであってもレイシズムが加わってしまえば社会的に悪とみなされ、政治効果的にはマイナス作用となり、それどころか利敵行為になってしまいます。現に中国・韓国は慰安婦問題など反日プロパガンダ工作のために米国等で行っているロビー工作で、日本の「自称保守」によるヘイトクライム活動の動画を見せて回っているのです。
政治的な主張や活動にはポリティカル・コレクトネス(政治的に正しい言葉遣い)を用いるという社会的ルールは、自由民主主義を国是とする先進国が共有する普遍的概念であり、これに反する行動は「敵」に利用される材料を与えるだけの愚行なのです。

このような現実を理解できない役員と一緒に「愛国議員サポートネットワーク」を継続するよりも、一旦解散した上で同じ信念の仲間と共に新たなスタートを図ろうと決断された三神氏の判断を私は支持したいと思います。
厳にレイシズムを否定する団体でなければ、一般社会から幅広く支持される運動に成長することはできません。そのような意味において、新たに純化リスタートされたこの「戦後レジーム脱却サポーターズ」は、「愛国議員サポートネットワーク」における良い精神のみを純粋に引き継いだ団体になるであろうと私は信じています。

現在の日本衰退の主因がこの「戦後体制」にあることは明らかであり、その脱却に向けて日本にはもうあまり時間的余裕が残されていません。尖閣強奪を皮切りに日本を属国化せんとする中国の対日戦略は、今後ますます苛烈さを増していくでしょう。尖閣海空域で軍事衝突が発生する可能性も十二分に存在しています。しかし果たしてどれだけの日本人が戦後初めての軍事交戦が起こりうることを覚悟しているでしょうか。

自衛隊をいまだに正式な「軍」と認めない妄想平和主義、わざと攻撃力を保持しない「専守防衛」なる異常な防衛体制。国家としての生存権すら他国のお情けに委ねようとするGHQ製の惨めな敗戦国憲法。ひたすら対中贖罪観を植え付けようとする自虐史観を喧伝する教育およびマスコミ報道。「貴国を侵略して申し訳ありませんでした」というお詫びから始まる一連の謝罪外交。諜報機関もなくスパイ防止法すらない脆弱無力なインテリジェンス体制。国際プロパガンダ戦において常に中国の後塵を拝する対外プロパガンダ遂行力の欠如。戦略なき感情的アレルギーの産物である非核三原則や武器輸出規制。同胞を拉致されても武力行使による奪還もできない歪な法体制。世界2位の巨額の分担金を払いながらいまだに「敵国」と規定される国連をあがめる国連中心主義。

これら歪んだ「戦後体制」の根底にあるものは、大東亜戦争に対する歴史観なのです。敗戦国としての日本罪悪史観を土台にして作られたものがこの「戦後体制」です。尖閣を「係争地」と認めさせる意図の中国の国際宣伝工作に鳩山由紀夫がいとも簡単に加担したのは、鳩山が南京虐殺は事実だと思い込んでいる自虐史観の持ち主であったからでしょう。自虐史観に脳を侵されれば国益を平気で投げ捨てる国賊行為すらおかしく思わなくなるのです。

戦後の歴代首相の中でこの「戦後体制」を一新しようという決意を持たれたのは安倍晋三氏ただ一人です。しかし「戦後体制」の根幹を成すものが自虐史観(東京裁判史観)である以上、国内の「戦後体制」護持勢力だけではなく、中国は言うまでもなく米欧など戦勝国からも歴史認識面での圧力が加えられることは必至です。
米国でも共和党は日本に対して比較的理解があり反中的傾向が強いのですが、オバマ政権を支える民主党は伝統的に嫌日親中的な側面があり、米民主党支持のリベラル系米国メディアも同様の傾向にあります。米国の二大政治勢力のその温度差は、先の大戦の歴史認識における日本の位置づけにおいても相当な開きがあるのです。

すなわち安倍首相は米国に対しても「自虐史観が日本の軍事アレルギーの根因になっていること。そのせいで日米同盟の発展強化も妨げられていること」を根気よく説いて、日米連携しての対中戦略のためには日本の自虐史観脱却が必要となることを理解させなければならないわけです。これは第二次世界大戦の結果における世界秩序を敗戦国側が修正するということでもあり、一足飛びには進まないであろう大変困難な作業です。

現在、中国は米国や国連などにおけるロビー工作で、国連憲章の敵国条項を根拠に「旧敵国である日本が連合国側の国を侵略すれば、侵略された国は国連安保理決議なしに日本を攻撃できる。尖閣は日本が中国領を侵略しているのだから、中国はいつでも好きなときに日本を攻撃できるのだ」と主張しています。戦後70年近く経ってもなお、いまだ先の大戦の結果による秩序が世界には厳として存在するのです。
安倍首相が日本の「戦後体制」すなわち東京裁判史観を一新しようとされる壮大な試みは、日本国内だけではなく、旧戦勝国が作った世界秩序を変えていこうとする歴史的な試みでもあります。そして旧戦勝国はたとえ数は多くても、現実的に見るならばその試みの成否を握るのは米国だけだともいえます。

従って中国は米国が安倍首相を警戒するように仕向けるために、米民主党議員を中心とした米国政界へのロビー工作、そして「日本の右傾化」などといったプロパガンダを喧伝する対米世論工作に大量に資金をつぎ込んでいます。
安倍首相を危険なナショナリスト呼ばわりし「尖閣は日本が中国から強奪した」などといった中国の全面広告を掲載したリベラル系の米主要紙、NYタイムズやワシントンポストなどには中国の国営英字紙「チャイナ・デイリー」が連日折込され、広告費名目で中国から膨大な金が流れています。そして例えばNYタイムズは日本においては、「安倍の葬式はうちで出す」の朝日新聞と正式に提携しており、その東京支局は朝日新聞本社内に置かれています。つまりNYタイムズの日本関連の論説は朝日新聞から提供される材料によって執筆されているわけです。
このように中国・米国の民主党系リベラル勢力・日本の左翼メディアの3つは相互に連携しており、いわば反日の枢軸ネットワークを構成して、日本の「戦後体制」脱却を阻止するために共闘して安倍政権を攻撃している状況なのです。

安倍政権が国内のみならず米国リベラル勢力からの圧力をも撥ね返していくためには、野党とはいえども米国下院の過半数を占める共和党から緊密なる理解を得ること、そして日本国民がぶれずに安倍政権を支持するという国内政治環境の実現も絶対不可欠となります。
参院選の勝利によって安倍政権が長期政権となり日本国民の支持率も高いという状況になれば、オバマ政権はその任期のほとんどにおいて安倍政権をカウンターパートにすることになります。日本国内で安倍政権が強い政治基盤を築いた状況が見えてくれば、そして共和党が対中戦略の観点から日本に一定の加勢をしてくれれば、オバマ政権も安倍政権の目標とする「戦後体制」脱却を支持ないし黙認せざるを得なくなるでしょう。そしてその脱却とは、東京裁判史観からの脱却をも意味し、安倍政権は戦後世界秩序を変える歴史的偉業を成し遂げることになるのです。

このように安倍政権がその理想を実現して真の救国政権になれるか否かは、まさに日本国民による政権支持の広がりしだいなのです。私たち日本国民が「戦後体制」脱却の意義と必要性を理解して、一人でも多くの同胞にそれを理解してもらうべく、先に目覚めたる国民には国内世論形成に向けて努力すべき使命が求められています。
民間の個人個人にできることは限られてはいますが、それぞれの人が自らの場において「戦後体制」脱却の必要性を訴えていくことで、そして来る参院選において正しい歴史観を持つ議員を選ぶことで、それらの積み重ねがやがて大きな潮流を生み出す原動力となっていきます。大河の流れも一滴の水滴から始まるのです。

このような状況下、その名も「戦後レジーム脱却サポーターズ」として新たに純化されてリスタートしたこの運動が、「戦後体制」脱却を目指す心ある有志が連携し社会から幅広く支持される良質な政治サポーター運動に発展していくことを願っています。
私たちの子どもたちの世代へ、強く豊かな繁栄する国を残してやれるのか、中国の属国として落ちぶれた貧しく弱い国を残すのか、この国の未来は今を生きる私たちの選択によって左右されるのです。さあ一歩ずつ、未来を信じて歩き出しましょう。必ず暁が訪れることを信じて。(平成25年1月20日)

************************************


深田先生、本当にありがとうございました。

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