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『 軍事アナリストの最新軍事情勢レポート8 』 - 2013.09.25 Wed


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当会ブログのオススメ記事「軍事アナリストの最新軍事情勢レポート」シリーズ!
前回に続き早くも第8弾を軍事研究家の黒井執斗 氏が書き下ろして下さいました。


ボリュームたっぷりの今作のタイトルは
『 パックス・アメリカーナの終焉 ~世界覇権の行方~ 』
です。
今回のレポートで黒井氏はパックス・アメリカーナ(アメリカによる世界秩序維持)が大きく揺らぎ始め「終わりの始まり」を迎えているという非常に重要な指摘をされています。
果たしてアメリカの覇権を受け継ぐ国はどこなのか…?
ぜひ最後までご熟読下さい!

毎回申しておりますが、黒井氏の軍事レポートは当会ブログの記事のひとつにしておくのが勿体ない素晴らしい内容です。
一人でも多くの方に読んでいただけるよう、ぜひとも拡散にご協力ください。



※過去の軍事情勢レポート1~7は当会オススメ記事の中にあります。
まだ目を通しておられない方は、ぜひ併せてご覧下さい。


オススメ記事⇒http://sensapo.blog.fc2.com/blog-category-2.html

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『 パックス・アメリカーナの終焉 ~世界覇権の行方~ 』
(軍事研究家 / 黒井執斗)

今回の拙稿はまず、嬉しい話題から始めましょう。
9月14日(土)の14:00、警戒区域に韓国のタンカー船が侵入した為に予定より15分延期されましたが、新型国産ロケットイプシロンの打ち上げが成功しました。また、ペイロードである惑星分光観測衛星(SPRINT-A)の軌道投入にも成功し、1号機から見事な成果を残しました。
マスコミのTV報道でも打ち上げ時の様子が繰り返し映されていましたから、ご覧になった方も多いでしょう。

その打ち上げの様子を観て、何かお気づきにならなかったでしょうか?
恐らく、観察眼の鋭い方は気づかれたのではないかと思いますが、見慣れた感のある日本のH-2AやH-2B、そして海外の一般的なロケットは最初に発射台からゆっくりと上昇していくのに対し、イプシロンの挙動は明らかに出だしから速い動きで上空へと飛び去ったはずです。
これはイプシロンが固体燃料ロケットである証です。推力制御の出来る液体燃料式とは異なり、固体燃料ロケットは点火後ひたすらに全開での噴射となります。極めて乱暴に言ってしまえば、大きなロケット花火のようなものです。
初速から速い飛翔の様は、ロケットと言うよりもミサイルを連想させるものだったと思います。

前回も話題にしましたが、イプシロンロケットは高コストの為に7号機で運用終了となった国産3段固体燃料ロケットM-V(ミュー・ファイブ)の後継として、大幅なコストダウンと打ち上げ管制の省力化を目指して開発されました。
ロケットそのものとしての構成はH-2A/Bの固体ロケットブースターやM-Vのキックモーターを流用した設計であり、ある意味実績のある物を組み合わせた信頼性の高いものだと言えます。
それに対し、打ち上げ管制はたった2台のパソコンと数名の管制官で行うという革新的かつ野心的な構成となっています。かつての米アポロ計画以来の、伝統的な100人超規模の地上管制要員が必要だという常識を覆すものです。

しかし革新的であるが故に、何かトラブルがあるとすれば打ち上げ管制の部分だと思っていました。案の定、8月27日の打ち上げではトラブルが発生し、原因究明の為に延期となりました。
そして発射19秒前でカウントダウンが自動停止した原因は、ロケットと地上管制間の通信が0.07秒遅れてずれていた為と判明しました。この原因発表のニュースを見たとき、私は次回打ち上げの成功を確信しました。
0.07秒は7/100秒であり、1秒=1000msec(ミリセック)ですから、技術的に違和感の無いように単位変換表記すれば70msecの遅れが問題だったわけです。

この70msecは一般的に見れば極めて小さな時間であり、多くの方は一瞬のズレでしかないと思われるでしょう。しかし、超高速で稼働する半導体生産設備の開発に携わった身としては、とても長い時間だと感じます。
70msecもあれば、ある行程における半導体製品組み立て動作の半分は完了してしまうほどの時間です。
例えばAという動作をし、その完了を待ってBという動作に移り、更にB動作の完了を検知してCという動作に入るとします。この場合、いかに時間的なロスなく次の動作に移れるかが大きなポイントとなり、遅れが出るほどに次々に累積して設計通りの性能から後れ、結果としてワンサイクルで見ると速度性能に劣る機械になってしまいます。

私たちの一番身近にあるコンピューターのOS(オペレーティングシステム)と言えば、やはり圧倒的なシェアを誇るWindowsでしょう。お洒落にMacを使いこなされている方でも、職場ではWindowsだというケースも多いかと思います。
キーボードを打ったとき、またマウスをクリックしたとき、Windowsは間髪入れず即座に反応しているように感じます。それは人間の感覚や処理能力よりも素早い動きでOSが反応しているからです。
一般的にWindowsの最小動作単位の割り込みタイマーは15.6msecです。そしてタイムスライスと呼ばれるタスクスイッチに要する時間は割り込みタイマーの数倍で動いています。ここでは仮に3倍の46.8msecとしましょう。

わかりやすく例えるならば、仮に20分間隔で運行されている列車があったとします。
乗客がランダムにホームに辿り着いたとき、最悪のタイミングなら20分待たなければなりませんし、運がよければ待たずに列車に飛び乗れます。これを無作為に何度も繰り返したときの平均待ち時間は、確率的に考えれば10分となります。
同様にWindowsのタイムスライスが46.8msecだとすると、タスクの切り替えに要する平均遅延時間は23.4msecとなります。一つの動作を終える度に、次の動作を開始するのに20msec以上の時間をロスしていては、とてもではありませんが超高速領域での処理は不可能です。
つまり、一般のWindowsは高速な機械制御や、ジャイロセンサーの検知した傾きに応じて瞬時にノズルの向きを制御する事が必須のロケット打ち上げ制御には使えないことになります。

ではどうしているのかというと、いわゆる「リアルタイムOS」と呼ばれるOSを使って制御します。色々な種類のOSがありますから一概には言えませんが、特殊なものを使わなくとも、タイムスライスが1msec程度のものが多数存在します。
これらをOSに用いれば、例えば10ステップの逐次シリーズ処理を実施しても累積する平均ロス時間は5msecとなり、実用的に使える制御性能を確保することが出来ます。
JAXAがイプシロンの打ち上げ制御・管制に使っている2台のパソコンでどんなリアルタイムOSで動いているのかはわかりませんが、少なくとも上記のレベルのリアルタイムOSが必要なのは間違いないと思われます。

今回の開発機であるイプシロンロケット1号機の打ち上げ費用は約53億円、これを2号機からは約38億円に抑え、4年後には30億円以下にするのが目標ですが、数を作れば自ずとコストは下がりますから、実現不可能な数字ではないでしょう。
ただし、世界の価格競争は厳しいものがあります。例えばインドの中型ロケットPSLVは約25億円、ロシアの中型ロケット「ドニエプル」に至っては最低で約12億円というバーゲンプライスです。
ただし、ドニエプルの飛び抜けた低価格には理由があります。核軍縮で削減されて余ったICBM(大陸間弾道弾:intercontinental ballistic missile)を打ち上げロケットに転用しているのです。いわば、廃品を再利用・転用する仕組みであるが故に低価格なわけです。
ただしドニエプルは液体燃料であり、使用される酸化剤は猛毒のヒドラジンです。打ち上げ失敗時には環境に大きな影響を与えてしまう問題点があります。

イプシロンは固体燃料ロケットであることが大きな特徴ですが、本来、固形燃料ロケットの成功率は低いものでした。アメリカやソ連(ロシア)が液体燃料式に移行したのも固体燃料の成功率の低さ故であり、その技術(液体式)が今の世界標準になっています。
それに対し、元より日本の固体燃料技術はずば抜けた安定性を誇っており、低コストをも実現した今、世界の注目を集めるのは当然でしょう。
そして案の定、中韓メディアは「日本がICBMに転用可能な固体燃料ロケットを打ち上げた」と騒いでいますね。特に韓国メディアは打ち上げ前から打ち上げ後に至るまで、「安倍政権の右傾化の証」だの「軍国主義化」だのとしつこく粘着して騒ぎ立てています。

ICBMとは一般的に射程5500km以上の弾道ミサイルを示す名称です。そして仮にイプシロンをICBMに転用した場合、その最大射程は14000kmにも及びます。これはアメリカのICBMピースキーパーに匹敵する性能であり、地球の裏側まで攻撃できるスペックです。つまり、隣国である韓国にとっては何の脅威にもならず、日本にとっては無駄以外の何者でもありません。
何が何でも反日命の彼らには論理的な思考は存在せず、まるでオートマタ(機械人形)のように条件反射的に動いているのでしょう。

イプシロンを非難する韓国は、ほぼ日本全土を攻撃範囲に収める射程1500kmの巡航ミサイルや、射程800kmの短距離弾道ミサイルを実戦配備中です。また、潜水艦からのSLCM(潜水艦発射巡航ミサイル:submarine launched cruise missile)も保有・運用しており、平和憲法や専守防衛に縛られて敵地攻撃能力を持たない日本よりも遙かに実戦的な軍備です。
彼らが一体何をしたくて騒いでいるのか、全く理解に苦しみます。
恐らく、自国の持たない衛星打ち上げロケットをH-2A/Bと合わせ2機種も純国産で実現してしまう日本を妬み、お決まりの自尊心とやらが傷つけられたのでしょう。

いずれにせよ打ち上げロケットと弾道ミサイルは極めて近い関係にあり、どちらにでも技術転用できることは確かです。つまり日本がロケット技術を磨いて結果を世界にアピールできれば、それだけで潜在的な軍事抑止力になり得るのです。
仮に防衛目的の敵地攻撃能力を保有する為に弾道ミサイルを配備するとなると、射程は3000kmで十分です。それで中国沿岸都市はカバーできます。更に射程を5000kmに伸ばした場合には、中国のほぼ全土をカバー出来るでしょう。
これは3段式ロケットのイプシロンを2段、ないしは1段に省略して流用設計すればよく、H-2A/Bに比べて約半分の全長24mを更に短くできます。これを10~14mに押さえれば、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル:submarine launched ballistic missile)としての運用が視野に入り、残存性の高い報復攻撃能力として高い抑止力を持つ事が出来るでしょう。

上記の3000~5000km程度の射程を持つIRBM(中距離弾道ミサイル:intermediate-range ballistic missile)はコストや使い勝手がよく、周辺の紛争国への抑止力として極めて有効です。
そしてインドは9月15日、中距離弾道ミサイル「アグニ5」の二度目の発射実験に成功しました。これにより、アグニ5は量産体制に移行すると思われます。
アグニ5の射程は約5000km、1.1トンの核弾頭を含む5~10個のMIRV(多弾頭独立誘導再突入体)を搭載可能とされています。パキスタンは勿論、中国全土を射程に収めるものであり、実戦配備が進めば強力な抑止力となるでしょう。
また、インドはアグニ5の潜水艦発射型(SLBM)も開発中だと伝えられています。

近未来において日本がアグニ5と同等のIRBMを保有すれば、インドとの協力関係次第では中国全土を東西から挟み撃ちにし、強力無比な抑止力を実現する事が出来ます。
日本が憲法を改正し、明確な交戦権を規定し、ごく当たり前の国になる事こそがアジアの安定した平和と繁栄に繋がるのです。

さて次に、余興として韓国の時事ネタを一つご紹介しましょう。
9月15日の仁川上陸作戦記念行事に参加する為、黄海を仁川港へ向けて航行中だった揚陸艦「独島(竹島の韓国名)」が10日に火災事故を起こし、2機の発電機が使用不能となって航行不能に陥るという事案が発生しました。
この独島(ドクト)という極めて挑発的な艦名の軍艦は全長199m、満載排水量約18000トンの空母型全通甲板を持つ揚陸艦で、韓国海軍最大の艦であり、かつ艦隊の中心たる司令塔として機能するご自慢の旗艦です。
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/masousizuka/20120820/20120820110430.jpg
ある時は準空母、またあるときは強襲揚陸艦、時によってはアジア最大の輸送艦と称せられる謎の存在でもあります。その実体は、艦隊の旗艦に揚陸用のウェルドック(揚陸用注水ドック)やヘリ空母としての運用能力をも付加しようという、まるで宇宙戦艦ヤマト並に欲張った艦であり、韓国の優秀な設計・造船技術も相まって使い物にならないゴミと化してしまった不幸な軍艦です。

自らの発するレーダー波が甲板に反射してしまい、3基全てのレーダーにありもしない反射標的(ゴースト)が表示され、これは幾度改修しても結局解決せずに運用に至っています。
近接防御用のCIWSゴールキーパーは甲板上のヘリを破壊し、揚陸艇を積むとエレベーターが使えないことが発覚し、同時駐機可能数の5機のヘリを載せれば強度不足の甲板が撓んでヘリがまともに飛び立てず、洋上運用の為の防塩処理を施したヘリが予算不足で調達できず、ヘリ空母の形をしていながら就役後6年経っても艦載ヘリすら無いという話題の尽きない艦です。
ディーゼル機関による最大速力23ノット(約43km/h)は揚陸艦としては標準的な数値ですが、これを艦隊の旗艦とするならば、ガスタービン機関で30ノット(約56km/h)は出せる戦闘艦の足を引っ張ってしまいます。
このあまりの使えなさから韓国内でも疑問の声が上がるほどであり、演習時や記念行事以外は港に係留されたままになっている有様です。また、艦名が悪いからではないか、との声も出始めているようです。

今回の事案を整理してまとめると、まず今年4月に艦体の姿勢を制御する為のバラストタンクに注水した際、バルブ操作ミスにより発電機室に海水が流入して4基中2基の発電機が損傷。本来なら修理してから運用するのが常識であるのに事故を隠蔽し、残る2基の発電機のみで仁川港を目指して航行中に1基が火災を起こし、消火の為に用いた海水によって残る1基も損傷し、全発電機が機能を停止し航行不能に陥った…という流れになります。
「独島」の国産化率は70%だそうですが、残念ながら発電機は輸入品であり、全4基の完全復旧は来年の4月になると報道されています。

もう既にお笑いの領域に達しつつありますが、故障でドック入りばかりしている3隻のイージス艦といい、波高3mで蛇行して真っ直ぐ航行出来ない駆逐艦といい、見た目のスペックだけは立派でも韓国海軍の実体・実力はこの程度のものです。海上自衛隊には逆立ちしても敵わないでしょう。
先述の巡航ミサイルの件は要注意ですが、海軍が海を越えてこられない、という事実は陸軍兵力を日本に揚陸出来ないということであり、いくら彼らが日本を仮想敵国としても、我々は微笑みながら生暖かく見守ってあげればいいのではないでしょうか。
余裕を持って彼らを見ることが出来れば、昨今流行の嫌韓一筋ではなく、真の敵にも目を向けて考えることが出来ると思います。
ですが勿論、慰安婦問題や天皇陛下侮辱発言等、譲ってはならない所は死守すべきです。

さて、次に本稿の本題へと話を進めましょう。
2010年のチュニジアでの暴動によるジャスミン革命以来、民主化を求める反政府デモや抗議の争乱はアラブ中に波及し、いわゆる「アラブの春」として喧伝するマスコミに持てはやされました。
その立役者はスマートフォンの普及とFacebookやツイッター等のSNSコミュニケーション手段だと言えるでしょう。デモや暴動への参加を不特定多数に呼びかけるのは勿論、治安当局側の動きに応じて予定の変更等を迅速かつ広範囲に伝える事が出来るからです。結果として、本来は個の集まりである素人集団でも組織化された動きが可能になります。
それが今や、日本でも報道されるイラクやエジプト等の例を見ても明らかなように、中東は混乱と混迷を極める状態になってしまっています。

専門外なので参考程度に考えて頂きたいのですが、アラブの国々には民主化は早すぎるのだと思います。イスラム圏ということを考え合わせると、独裁政権であれば政教分離が比較的容易に実現し、国家として遙かに安定すると言えます。
例えば東南アジアのイスラム国家たるマレーシアにしても、一見すると平和に見えますが、国民の7割を占めるマレー系イスラム教徒への優遇政策に対して他民族の不満が高まっている状態です。また、イスラム教徒の間でも宗派によって大きな格差があり、度々問題となっています。
要はイスラム教と民主主義は相性が悪く、収拾の付かない混乱を招く恐れがあると言えます。

そして最も大規模なデモに発展し、継続中なのがシリアです。これはもうデモなどと言えるものではなく、完全に内戦です。
2年半に及ぶ内戦による死者数は10万人を超え、近隣国へ逃れた難民は200万人ともいわれています。本来ならば国連による介入があってしかるべきですが、安保理常任理事国のロシアと中国が拒否権を行使するのは目に見えており、機能不全の国際平和組織は何の役にも立ちません。

それに加え、現在の国連事務総長は潘基文(パンギムン)です。就任当初から「韓国の為」と言い切り、国連組織を私物化して要職ポストを韓国人で固めた挙げ句、「正しい歴史認識が、良き国家関係を維持する。日本の政治指導者には深い省察と、国際的な未来を見通す展望が必要だ」と発言しました。
それに呼応し、中国外務省の副報道官は「積極的に評価する。歴史の正義を擁護し、日本に侵略の歴史を直視して反省するよう促すことは、国際社会共通の要望だ」との談話を発表しています。
実に馬鹿馬鹿しい限りです。特定の国に肩入れしないことが絶対のはずの国連事務総長がこの有様、さすがは歴代最悪の烙印を押されているだけのことはあります。
先の大戦の戦勝国クラブたる国連に期待などありませんが、少なくともアナン事務総長時代には、それなりの存在感があったと思います。潘基文は問答無用で即刻に罷免されても文句を言えないレベルでしょう。

国際社会がシリア情勢を放置する中、政府軍と反政府軍による内戦が延々と続いているわけですが、まずこの事態が異常です。特に反体制側の反政府軍に2年半にも及ぶ継戦能力があるはずないからです。つまり、これはバックの存在を意味します。
ユダヤとイスラム、イスラム宗派間の派閥争い、少数民族迫害、独裁政権に反発する民主化運動、利害のある国々の関与、等々が複雑に絡み合っている状態ですから簡単に要点だけを記すと、反政府軍を支援しているのはトルコやサウジアラビア、そしてアルカイダです。アルカイダは戦闘参加兵士も多く送り込んでいます。
それに対し、政府軍側を支援しているのはレバノンの武装組織、ヒズボラです。シリアは反イスラエルのテロ支援国家であり、ヒズボラとは深い関係があります。国家レベルで見るとシリアは親イランであり、イランの石油が目当ての中国、そして同じく親イランの北朝鮮にも繋がります。

こうした中、シリアの体制派・政府軍を何としても守らなければならないのがロシアです。なぜならロシアはシリアのタルトゥースに軍港の権益を持っており、これは貴重な不凍港かつ地中海に影響力を持つ為の要所だからです。
それに加え、シリアはロシア製兵器の顧客であり、アメリカ製兵器に対峙する事になった場合には意地でも有用性を示さねばなりません。さもなければ、湾岸戦争でロシア製兵器が西側兵器にワンサイドゲームで撃破されてしまった時のように、評判が地に落ちて誰も買わなくなってしまいます。

そしてアメリカ・オバマ政権が軍事介入を躊躇し続けてきた背景の一つには、米軍の厳しい台所事情があります。財政難による国防予算の強制削減です。
影響は様々な所に及んでいる、もしくは及ぼうとしていますが、38000人の文民職員に対する強制無給休暇と6000人以上の人員削減、航空機の定期修理や部品交換費用の2割削減、航空機飛行時間の削減、航空機操縦教官を養成するトップガンスクールの運用停止、陸軍の正規兵力を57万人から49万人へ削減、前線への展開を除く全ての訓練や演習の中止、計10群を保有する空母打撃群のうち3~4群の運用停止…等々、安全保障をアメリカに頼っている日本で全く報道されないのが不思議な状態です。
つまり、アメリカはイラク戦争の時のように中東で大規模軍事展開を行う能力を失いつつあります。

オバマは自ら化学兵器の使用をレッドラインと位置づけ、警告の発言をしていました。それは内戦が激化して混乱がより深刻化すればテロ組織等への化学兵器拡散へと繋がり、その標的がアメリカになる可能性が高いことも理由でしょう。
そして遂に、それが政府軍によるものか反政府軍側によるものかは定かではないにせよ、神経ガス・サリンの使用が明るみに出てしまい、アメリカは引くに引けなくなってしまった。
少し話題が逸れますが、我々がサリンと聞けば地下鉄サリン事件を思い出しますね。当時私は海外に滞在していたのですが、朝食時のレストランでちょくちょく顔を合わす長期滞在のドイツ人が現地英字新聞を片手に「神経ガスを使うなんて、日本人は本当にクレイジーだな!」とまくし立ててきました。思わず「そもそも最初にサリンを量産したのはナチスドイツだろ」と言いかけて踏みとどまった記憶があります。
オウム真理教の例を見てもわかるように、大学で学ぶ程度の化学知識と原材料があれば安価かつ比較的容易に作れ、かつ致死効果の高いのがサリン、タブン、ソマン等の化学兵器です。「貧者の核兵器」と呼ばれる所以ですね。
少し前には某左翼新聞が「自衛隊がサリンを隠し持っている」と騒いでいましたが、世界の全ての軍隊はサリンを含む化学兵器を少量ながら所持しています。なぜならば、あらゆる種類の神経ガスサンプルを持っていなければ、それに対する防護策の研究が出来ないからです。少し考えれば当たり前ですね。

様々な事情があるにせよ、サリンの使用、軍事介入に乗り気だったイギリスやフランス、そしてヒズボラと敵対するイスラエルの要望もあってアメリカは介入に踏み切らざるを得なくなりました。
ただし、前述のように大規模な軍事展開は出来ませんし、政府軍=ヒズボラを叩くことはイスラエルの為でもありますが、それは同時に反政府軍=アルカイダに利する事になってしまうジレンマがあります。アサド政権が打ち倒されてアルカイダ系の新政府が化学兵器込みでシリアを支配するようになればアメリカにとっては悪夢でしょう。
よって目的は明らかに政権を転覆させない程度に攻撃を加えて懲らしめる事であり、陸軍兵力を除く限定的な軍事介入を計画し、5隻のミサイル駆逐艦を東地中海に展開しました。日本では「ミサイル駆逐艦」と報道されていますが、これは要するに全てイージス艦です。アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦は計90セルのMk.41 VLS(垂直発射装置:Vertical Launching System)を装備していますが、甲板上には上蓋の部分しか露出していない為、果たしてどんな割合で対空、対地、対艦ミサイルを積んでいるかは判別できません。ですが恐らく、計5隻で200発前後のトマホーク巡航ミサイルによる攻撃が可能でしょう。
それに加え、隠密行動が大原則のオハイオ級巡航ミサイル潜水艦が近海に潜んでいれば、1隻当たり154発のトマホークが追加される事になります。

更にアメリカはインド洋にあった原子力空母「ニミッツ」を紅海に展開しました。これは勿論、空母打撃群を構成する5隻の随伴イージス艦と1隻の攻撃型原潜を含みます。しかしながらアメリカが本気で他国を制圧するときには3つの空母打撃群を集結させるのが常ですから、今回はこれに該当しません。
このニミッツの役割は恐らく、艦載のEA-18Gグラウラー電子戦機によるAGM-88 HARM(High-Speed Anti Radiation Missile)での先制攻撃でしょう。AGM-88は敵レーダーから放射される電波を探知し、マッハ2の超音速で飛翔してレーダー施設を破壊します。つまり、まず敵の防空レーダー網を破壊し、目を奪って無力化するわけです。
それに加え、必要と判断すればB1、B2、B52等の爆撃機を飛来させてアウトレンジからの巡航ミサイル攻撃をオプションとし、念のために海兵隊員300人を乗せた輸送揚陸艦「サンアントニオ」を地中海に展開、垂直離着陸輸送機オスプレイ最大12機を搭載した強襲揚陸艦も紅海に展開、といった布陣です。
フランスは虎の子の原子力空母「シャルル・ド・ゴール」を地中海沖合に派遣しましたが、これはアメリカの空母航空戦力不足を補完する意味があるのでしょう。

これらアメリカ側勢力の布陣に対し、ロシアは黒海艦隊や北方艦隊から複数の対潜艦やミサイル巡洋艦を地中海東部に派遣して牽制する体勢を取りました。
受けて立つシリアの空軍が保有する戦闘機は約400機弱とされていますが、その稼働率は50%程度と低く見積もられている上に機種も旧式のものばかりであり、搭載電子機器、いわゆるアビオニクスもアップグレードされておらず、脆弱なものだと想定されます。
よって防空戦力の頼りは国土の大部分をカバーしているとされる約1000発のロシア製地対空ミサイルとなりますが、これもその多くが老朽化しており、ジャミングや電子戦、対レーダーミサイルに弱い為に厳しい展開が予想されます。

そしてロシア製の高性能地対空ミサイルシステムであるS-300、これをロシアがシリアに正式に売却した記録はありません。シリアの支払い能力への不信や、イスラエル等への配慮からです。
ですがこのS-300が中国及びベラルーシを経由してシリアの手に渡っているのは公然の秘密だとされています。
http://sphotos-a.ak.fbcdn.net/hphotos-ak-prn1/537021_483034875095696_2078168863_n.jpg
この移動式発射機の画像を見ると、いかにもロシア製らしく無骨で強そうです。日本を含む西側が採用しているアメリカ製のパトリオットとは正反対のデザインセンスですね。

ロシアは最新のS-400を配備していますが他国へは輸出しておらず、ロシア側同盟国にとってはS-300が新鋭のミサイルシステムとなり、アメリカのパトリオット2と同様に航空機や巡航ミサイルに対する高い迎撃能力があると喧伝されています。そして付け加えると実戦使用されたことは未だ無く、真の実力は未知数です。
アメリカ及び同盟国が採用しているトマホーク巡航ミサイルは亜音速ですから迎撃は難しくありませんが、海上でも陸上でも低空を舐めるように飛ぶトマホークを捕捉するのは難しい面があります。日本も4機保有しているAWACS(早期警戒管制機:airborne warning and control system)等を飛ばし、上空からルックダウンで監視すれば発見は出来ますが、シリアはAWACSを保有していません。
果たしてトマホークに対してS-300がどれほどの迎撃成果を上げられるかは、アサド政権が生き残ってロシアがタルトゥース軍港を引き続き保持できるかどうか、そしてロシアの面子と兵器輸出産業に影響を及ぼしますが、実は我々にも大きな影響があります。

それは中国です。中国はS-300をライセンス生産し、改良を加えたモデルと併せて沿岸部に多数配備しています。この中国の「紅旗」シリーズには艦載型も存在し、人民解放軍海軍の主力防空艦に搭載しています。
つまり、シリアにおいてS-300が十分な迎撃成果を発揮できなければアメリカと日本は一息付けますし、中国にとっては陸上及び海上防空網の大問題になります。
なおかつ、日本が国防の為の敵地攻撃能力を持つとすれば、その第一歩はトマホーク巡航ミサイルの保有であり、それが中国の防空網を突破できるかどうかの指標となります。
遠い中東シリアの内戦と軍事介入に関し、我々は無関心ではいけないのです。

ところが皆さんもご存じのように、武力介入の是非を協議したイギリス議会の下院は政府の介入動議を否決し、それに躊躇したオバマが上院にシリア攻撃に関する決議案審議を投げてもたついている隙に、ロシアがシリアの化学兵器を国際監視下に置くという提案を出して主導権を握ってしまいました。
果たして本当に1000トンのサリンを含む化学兵器が全て破棄されるかは不透明であり、アメリカも中東に展開した戦力を維持するといっていますから結末はわかりません。
ですが、少なくとも現時点の結果としては軍事介入が回避され、書類上ではシリアに化学兵器の明け渡しを約束させたわけで、プーチン(ロシア)の株は急上昇し、オバマ(アメリカ)の威信は失墜してしまいました。中東でのロシアの影響力は増大し、事の次第によればスエズ運河の支配すらロシアの手に落ちる日が来るでしょう。
GDP世界第1位のアメリカは、その約1/10のGDPしかないロシアに負けたわけです。

そして更なる衝撃的な事態が起こりました。
オバマは9月10日のテレビ演説においてシリア問題に絡み、「米国は世界の警察官ではないとの考えに同意する」と述べたのです。
財政難から国防予算の強制削減を余儀なくされ、アメリカの世界覇権は徐々に衰退を迎えるだろうとは予測していました。ですが、10年か20年先まではアメリカは「世界の警察」であり続けるだろうと思っていただけに、衝撃的かつ歴史的な発言です。
パックス・アメリカーナの終焉、超大国アメリカの世界覇権の元に守られてきた秩序の終わり。我々は今、歴史の転換点へと達したのです。
多くの人達は軍事だけの問題だと思うでしょう。しかし、残念ながらそれは違います。我々が、世界の人々が当たり前だと思っている「自由貿易」すら、第二次大戦後における強いアメリカの世界覇権の元で、アメリカが自由貿易を望み推奨したからこそ実現していたのです。つまり第二次大戦前と同じく、強い海軍を持って独自にシーレーンを確保出来る国のみが貿易を享受する時代が来るでしょう。
そして果たして、アメリカの次に世界覇権を握るのはどの国なのか。

これらのことを地政学と国際政治学と比較文化史の研究によって推論し、9年前に発行された書籍があります。それは作家・国際政治学者の深田匠氏による著書、『日本人が知らない「二つのアメリカ」の世界戦略』です。(以降、「二つのアメリカ」と略)
該当部分の結論部のみをここに抜粋・引用します。

【以下、引用開始】
さてモデルスキーの研究によると、このスーパーパワーの循環には二つの法則が存在している。まず一つめの法則は、「覇権国がそのスーパーパワーを失う契機となるのは、国際秩序維持のコスト負担に伴う重圧によって国力が衰退するとき」であり、その大きな要因は大規模な戦争に突入することである。ソ連というランドパワーを代表する一方のスーパーパワーが失われたのは、ひとえに米国との冷戦(軍拡競争)に伴うコスト負担の重圧に負けたからであるが、それは同時に米国にも「双児の赤字」という国力衰退のツケを残している。

次に二つめの法則となるのは、覇権国が失うそのスーパーパワーを継承して次の覇権国となる国は、「前覇権国が国力を衰退させる要因となる大規模戦争に参加した国の中で、最も国力(GDP)の大きい戦勝国である」というものである。 (中略) しかしそのイギリスも第二次世界大戦によって一気に衰退し、その覇権を戦勝国の中で最大のGDPを持つアメリカに譲ることとなり、パックス・アメリカーナの時代が到来した。覇権の循環は戦争に参加した戦勝国の間でバトンタッチされていくのが歴史の鉄則であり、それ以外の循環は一切存在しないのだ。

このモデルスキー論と現在の地政学上のパワー・ポリティクスを鑑みるに、今まさにアメリカはそのスーパーパワーを失う「終わりの始まり」に突入したと言えよう。 (中略) 巨額の財政赤字を抱えたままアメリカはそのスーパーパワーを失う最後の戦争に突入し、そのスーパーパワーは「次なる国」へと移るのを待っている。それが現在の国際社会に存在するダイナミズムである。そしてアメリカがそのスーパーパワーを用いて行うべき人類史的使命とは、地上から危険な独裁国家やテロ支援国家を一掃することにある。やがてアメリカがその使命を果たし終えて世界新秩序が完成する頃には、アメリカはその世界秩序再編のコスト負担によってスーパーパワーを失い覇権国ではなくなっている。

ならば次なるスーパーパワーはどの国へと循環するのか。英国に再びスーパーパワーが戻る事は、その国力(GDP)から考えて可能性は高くない。ロシアはもっと国力がない。ではフランスか。フランスが事実上主導するEUは、総人口四億五千万人、二〇〇二年度のGDP合計は九兆五千億ドル(九百八十二兆円)、まさにアメリカに匹敵するスーパーパワー候補だ。しかしEUは敢くまでも連合体であり言語も文化も各国異なる。現にイラク戦争の賛否をめぐっても二分された。EUによって次のスーパーパワー循環を担おうというフランスの目論見は実現が難しいものだ。

ならば次なるスーパーパワーは中共なのか。現在GDPで世界第六位の中共があと二十年以内に日独を抜いてGDP世界第二位になるのは確実であることは既に前述した。実はこの二十年というタイムスパンには大きな意味がある。「アジア二〇二五」レポートが示す如く、日本が中共との対決を避けてランドパワーの勢力圏に入るか否か、つまり中共の属国となっているか否かの答が出ているのが二十年後だ。日本が中共との対決を避けた場合には、シーパワー同盟(対中包囲網)による中共政権崩壊は起こり得ず、二十年後に中共は日本も含めたアジア全域を覇権下に置き、アメリカに次ぐ国力(GDP)を保持していることになる。そして米政権が民主党であれば中共は戦勝国待遇を受けているであろう。つまり次のスーパーパワーは中共へと移る。現在のアメリカの立場に中共が立ち、さらに独善的で過酷な「陸の文明」すなわち中華世界秩序で世界を「管理」することになる。世界覇権を得た中共がそのスーパーパワーを強圧的に行使していくことは必至であり、世界は大変な混乱と惨禍に陥ることになる。共和党政権下のアメリカは仮に国力が衰退していても、中共が中華世界秩序で世界を覇権下に置くことは絶対に許容せず、再び長い戦乱の時代が続き多くの人々の死が積み上げられていくことになる。

しかし私は日本を、日本民族を信じる。日本が妄想平和主義から世界秩序再編戦争への参戦を逃げ続け、さらに中共との対決も避けて朝鮮半島・台湾・ASEANに続いて中共の属国となる、そんな二〇二五年を私は信じない。信じたくない。ならば日本が中共のスーパーパワー化を促進する対中ODAを即座に全廃し、謝罪外交と完全に決別し、核武装も含めて中共に対抗できる軍事力の均衡を実現し、集団的自衛権に基づいてアメリカの世界秩序再編戦争に加勢参加し、日米台印シーパワー同盟を構築して中共政権を崩壊せしめた場合には、次のスーパーパワーはどこへ循環するのか。人類の歴史が教える答はただ一つ、次なるスーパーパワーは日本へと循環する。日本が世界秩序を維持する世界覇権国となるのだ。

つまり米国に次いで国力第二位の日本がアメリカのそのスーパーパワーを受け継ぎ、世界覇権国となって新しい世界秩序を守り発展させていくことは、人類全体に対する日本の大きな責務なのである。(Page 569~572)
【以上、引用終了】

何たる深く鋭い洞察力と大胆な論説。これぞ、まさに慧眼。
保守のバイブルとも称される「二つのアメリカ」は平成15年に発行されています。つまり、2期8年に及ぶアメリカ共和党ブッシュ政権時代のど真ん中、日本の小泉政権の末期に書かれたものですが、その記述の多くが見事に的中しています。
オバマの「アメリカは世界の警察ではない」発言に関しては深田氏の予測よりも早かった感はありますが、軍事的観点からしても近未来への道筋を的確に指摘されています。

深田氏は思慮深いが故に滅多に公言される事は無いでしょうが、衝動的な私は遠慮無く独断で書きます。実は「二つのアメリカ」は平成18年度に防衛省の「精神教育参考資料および教養資料」に採用されています。つまり、国防を担う防衛省においても重要な資料だと認識されている著作なのです。
蛇足ながら、私は深田氏の直筆サイン入りの1冊を所有しています。
未読の方には是非お勧めしたいのですが、残念ながら現在新品は入手できず、ネット上の中古本には結構な高額値付けがされてしまっています。私の街の図書館には蔵書されていましたから、運がよければ皆様の近くの図書館にもあるでしょう。
また、保守派のブログサイト「風林火山」(http://ochimusya.at.webry.info/)の『衝撃の事実「日本人が知らないシリーズ」』というテーマコーナーにて、多くの部分が抜粋・引用して公開されています。(http://ochimusya.at.webry.info/theme/57295fd580.html)
まずは上記サイトをじっくりと読まれるのもいいかと思います。

さて、オバマの発言は、アメリカが世界覇権を近い将来いずれかの国へと譲り渡さざるを得ない、という現実を受け入れたと判断できます。
それに加え、シリアには単独でも軍事介入を実施すると公言しておきながら、それが出来ずにロシアにいいところを掠われてしまいました。これはすなわち、化学兵器や核兵器等の大量破壊兵器を限定的に使用しても、衰退を迎えつつあるアメリカが報復しない事があり得る事実を世界に突きつけました。
これはイランや北朝鮮、そして何よりも中国に間違ったメッセージを送ることになってしまうでしょう。具体的に日本にとっては、尖閣への侵略行為が更に強引に、かつ周到に行われるということです。そして、その激化は既に始まっています。

去る9月8日、中国の爆撃機H-6が2機、沖縄と宮古島間の上空を通過しました。
http://image02.wiki.livedoor.jp/n/2/namacha2/6566c1e39762255b.jpg
一目で随分と古くさいデザインですが、H-6は1950年代からソ連のTu-16バジャーをノックダウン生産やライセンス生産した機体で、比較的新しい発展型は空中発射巡航ミサイルや空対艦ミサイルの運用も可能になっており、その能力は侮れません。
当然ながら空自のF-15Jが那覇からスクランブルしていますが、沖縄本島と宮古島の間には民間航空路があり、領空へと侵入しない限りは見守るしかないのが現状です。しかし逆に見れば、常に民間機が飛び交う空域に勝手に爆撃機が侵入しているわけですから、その狂いっぷりはかなりのものです。
また、複数ソースでの確認は取れていませんが、CNNの速報によれば嘉手納に派遣されている米空軍のF-22ステルス戦闘機4機もスクランブルしたと伝えられています。これが事実なら、随分と派手な出迎えです。

東西冷戦時代にはソ連の爆撃機が領空侵犯をすることも度々で、近年のロシアも時折爆撃機を差し向けて日本の防空体制に探りを入れています。中国は日本列島から沖縄、台湾、フィリピンをつなぐ防衛ラインを「第1列島線」と位置付けていますから、このラインを通過することに意味があります。
また、2020年の東京オリンピック開催が決定した日本が事なかれ主義になると考え、7月に通過した早期警戒機よりも挑発的な爆撃機の通過を既成事実にしたいのだと思われます。

そして翌日の9月9日、中国の無人機が日本の防空識別圏に侵入しました。
この事案は遂に来るべき時が来たかという印象であり、極めて重要です。
http://www.mod.go.jp/js/Press/press2013/press_pdf/p20130909_02.pdf
上記、統合幕僚監部の発表資料では「国籍不明」となっていますが、これは中国機だと簡単に推測できます。飛来は北、西、南からの可能性がありますが、フィリピンが日本に敵意を持っていないことや対中国を視野に入れて日本に援助を求めていることからフィリピンは除外され、北と西が残ります。また、台湾は長い間アメリカと協調体制にあり、尖閣問題で日本を挑発するメリットもなく、西も除外できます。となると残るは北の中国であり、福建や旅順あたりの航空基地から飛び立ち、徘徊の後に帰投したのでしょう。
なお後日、中国は該当無人機の自国所属を認めています。

統合幕僚監部の発表資料では、(恐らくわざと)解像度の低い画像が掲載されていますし、撮影距離を類推されない為に海面や島が映り込まないようにトリミング加工されていますね。実に周到な発表資料です。
そして対象無人機は中国の「翼竜」無人攻撃機に見えます。
http://images.china.cn/attachement/jpg/site1004/20130710/001ec94a25c513473b0e0e.jpg
上記画像を見ればわかるとおり、翼竜はアメリカの無人機プレデターやリーパーのコピー機です。つまり純粋な偵察機ではなく、対地・対空ミサイル攻撃能力を備えています。

また、荒い画像の見方によってはBZK-005無人偵察機にも見えます。
http://image02.wiki.livedoor.jp/n/2/namacha2/8e36caf6af3b7d72.jpg
これも米プレデターやリーパー系のコピー機でしょうが、かなりの部分にイスラエルから導入した技術が使われていると思われます。
無人機に重要なのは搭載する各種センサー類の性能ですが、その面ではアメリカに劣るでしょう。しかし、航空ショーで中国が喧伝しているのはそのコストの低さで、アメリカ製無人機の1/30だと報道されていました。
中国はステルス戦闘機の開発に力を入れていますが、無人機に対してもコピーを含む様々な試行錯誤を繰り返しており、その保有数は1500機に及ぶとの説もあります。

そして中国が尖閣沖に無人機を差し向けてくる第一の理由は、空自の疲弊が狙いでしょう。乱暴に言ってしまえば、無人機は通信衛星経由でコントロールする大きなラジコンにすぎません。基地にいる操縦者は疲れれば別の要員と交代することも出来ますし、無人偵察機自体の連続飛行時間も40時間程度と長いです。
それに対し、スクランブルする空自のF-15J戦闘機はせいぜい数時間しか滞空できず、次々に後続機と交代しながら領空侵犯に至らないかを監視するしかなく、パイロットは勿論のこと、ヘビーローテーションで満足な整備がままならなくなった機体も疲弊してしまいます。

その結果として空自の監視に隙が出来れば、防空識別圏から一気に領空を侵犯するチャンスが生まれます。第2の目的は領空侵犯を常態化させ、なし崩し的に「中国の領空を哨戒している」と発表して自国の領空であると主張する事でしょう。
これは、尖閣で領海侵犯を繰り返している中国公船の「中国領海をパトロールしている」という主張と同じ事を狙って来ると思われます。

防衛省は「領空侵犯は撃墜も視野に入れて検討する」と言っていますが、憲法で交戦権を持たないと定義している今の日本では、事実上手を出せません。これは一刻も早く法改正を実現しなければ、どうすること出来ずに既成事実を作られてしまいます。
中国機が防空識別圏に達すればスクランブルせねばなりませんが、領空侵犯されない限り手は出せず、そして領空侵犯されても最大で警告射撃しかできず、国際共通周波数を用いた無線警告も相手が無人機では全く意味がありません。
2011年暮れにはイランがアメリカのステルス無人偵察機RQ-170を拿捕していますが、これは偽のGPS信号によって強制着陸させたとされています。
日本も同様に電子戦によって中国無人機を無力化することを模索するべきでしょう。

無人機の問題は、搭載カメラや各種センサーの情報を通信衛星経由で基地へと送り、また逆にコントロールの為の指令を基地から無人機へと送らねばならないことです。日本が前倒し導入を決めたアメリカの無人偵察機グローバルホークの場合、消費する帯域は約500Mbyte/secだとされています。これは日本の一般的な家庭用光ファイバーインターネット回線の40本分に相当します。
今後中国が複数の無人機を差し向けてくるとすれば、それに耐えうるだけの帯域を持った軍事通信衛星を保有・運用している証左となります。
また、中国はアメリカのGPSに依存しない独自の衛星測位システム「北斗」の運用を開始しており、現在16機の衛星打ち上げをもってアジア太平洋地域で使用可能であり、最終的には2020年に計30機の打ち上げを完了して地球規模でのシステム運用を目指しています。
つまり、イランが行ったように偽のGPS信号を無人機に送って拿捕しようとすれば、北斗システムの軍用に暗号化された電波信号を解読しなければなりません。

空自は4機のYS-11EB電子戦機を保有・運用しています。
http://www.mamboccv.com/YS11EB_159_080910.jpg
上下に二つずつ、大きなドームが設置されているのがわかると思います。
中国の無人機が繰り返し差し向けられれば、まずは入間基地に所属する電子飛行測定隊のYS-11EBが那覇基地に飛来し、無人機の制御や情報送信に使われている周波数や帯域、暗号化通信内容を測定・収集する事になるでしょう。
これまで尖閣を巡る戦いは主に海の上で繰り広げられてきました。しかし、遂に対無人機を含む空の戦いが本格的に加わる事になります。既にそのスタートは切られたのです。

本稿を締めくくるに当たり、真に憂国の志を同じくする皆さんに再度確認しておきたいと思います。
もうご理解頂けたかと思いますが、我々には韓国などという雑魚にばかり構っている余裕はありません。そんな時代は過ぎ去ったのです。逆に、韓国と揉めているばかりでは日韓離反を狙った中共の策謀に嵌ってしまうことになります。

パックス・アメリカーナの終焉、終わりの始まりへ。
「驕れる者久しからず ただ春の夜の夢の如し」
アメリカが「世界の警察」を下りると宣言したからといって、すぐに同盟国への軍事力の傘が消滅するわけではありませんが、近い将来にアメリカは防衛ラインをハワイ・グアム・オーストラリアのラインへと後退させるでしょう。
また、シリア介入の顛末を見れば明らかなように、尖閣を巡って日中が局地戦に突入したとしても、必ずアメリカが助けてくれる保証はもうありません。シリア介入と同じく判断が議会に委ねられる事態は十分考えられ、米軍の一部として機能するように組織された自衛隊は長期戦には耐えられません。

もう残された時間は少なく、中共と衝突する前にやっておかなくてはならない準備は数多くあります。
憲法9条改正、国軍保持、交戦権保持の明文化、武器輸出三原則破棄、防衛費GDP比2%、敵基地攻撃力保持、F-35ステルス戦闘機の導入、F-15J戦闘機の近代化改修の迅速化、潜水艦戦力の増強、イージス艦8隻体勢への増強、汎用護衛艦の増強、対潜ヘリ空母の増強、超音速空対艦ミサイルの早期開発完了と配備、ミサイル防衛(MD)の拡充、短・中距離弾道ミサイルの開発と配備、兵站の確立、日本版NSC創設(スパイ防止)、ASEAN・台湾・インド等との中共包囲網構築、等々、挙げればきりがありません。
それでも我々は無法者の侵略から国土・国民を守らなければならず、大陸から太平洋へと進出しようとする中共を抑止できれば、近未来の世界をも安定と繁栄へと導くことが出来ます。

もう時代は歴史的な変革へと大きく舵を切っていること、自虐史観や妄想平和主義を捨て去って戦いの場へと臨まなくてはならないことを、一人でも多くの人々に伝え、理解して貰う必要があります。
それが読者の皆さん一人一人を含めた、我々の使命なのです。

我らが日本と世界の未来に勝利の栄光あれ。

(2013年9月23日記)

*******************************************************

黒井執斗様、いつも本当にありがとうございます。
心より感謝申し上げます。



最後までご覧下さった皆様、誠にありがとうございました。





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待ってました!

読みまーすv-237

Re: 待ってました!

>>ワンワン 様

ありがとうございます!
今後とも宜しくお願い致します。

やっと読めました。
アメリカ様が引退されたら是非日本が前に出て行かないといけないですね!
深田先生の本はなかなか入手しにくいとは聞いていましたが、図書館という手がありましたね。
今度探してみます。

Re: タイトルなし

>>ワンワン 様
コメントへの返信が遅くなり誠に申し訳ありません。

ご熟読いただき有難うございます。
深田先生の著書もぜひ読んでみて下さい。
目からウロコが落ちること間違いなしです。

拍手コメントをいただいておりました。
内容をこちらに転載させていただきます。

***********************
黒井執斗様、拝読させていただきました。今後の日本が、シナ・朝鮮の暴挙を粉砕し東アジアの覇者として活躍する時代が、そこに来ている感がします。大拍手!
***********************

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